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不動産のお役立ちブログ

Blog 2025.12.01
不動産売却でポータルサイトに掲載する仕組みと注意点
「自宅を売却しようかな」 そう考えたとき、多くの方が真っ先に思い浮かべるのが、SUUMOやat-homeといった不動産ポータルサイトではないでしょうか。 実際、今や不動産を探す買主の大半が、ポータルサイトを利用しています。   では、あなたの大切な不動産がどのようにしてポータルサイトに掲載され、買主の目に触れるのか、その仕組みをご存じですか? 実は、この仕組みを知らないまま売却活動を始めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。 問い合わせが全く来ない、何ヶ月経っても売れない、そんな状況に陥ってから「こんなはずじゃなかった」と後悔する売主様を、私たちは数多く見てきました。   この記事では、不動産売却におけるポータルサイトの仕組みと、売主様が知っておくべき注意点を解説します。 不動産ポータルサイトとは?その役割と代表的なサイト 不動産売却を成功させるために、まずはポータルサイトの基本的な役割を理解しましょう。 ポータルサイトが果たす「集客窓口」としての機能 不動産ポータルサイトとは、インターネット上で売買物件の情報を一箇所に集約し、買主となるユーザーに公開するためのウェブサイトです。 言い換えれば、不動産会社と買主をつなぐ「集客窓口」として機能しています。   買主は、サイト上で希望のエリアや価格帯、間取りなどの条件を入力して物件を検索します。 気に入った物件が見つかれば、その情報を掲載している不動産会社に問い合わせを行う、という流れです。   ここで重要なのは、ポータルサイトに直接物件情報を掲載できるのは、サイトと契約している不動産会社のみという点です。 個人の売主様が直接掲載することはできません。 つまり、ポータルサイトでの集客を実現するには、まず信頼できる不動産会社を見つけ、媒介契約を結ぶことが第一歩となります。 SUUMO・HOME'S・at homeなど主要サイトの特徴 日本国内で代表的な不動産ポータルサイトとしては、以下のようなサイトがあります。 SUUMO(スーモ) at home(アットホーム) HOME'S(ライフルホームズ)   これらのサイトは、それぞれ月間で数多くの利用者を抱えており、買主が物件を探す際の主要な情報源となっています。 各サイトには特色がありますが、共通しているのは「物件写真」と「物件情報」が買主の判断材料になるという点です。   買主は実際に物件を見る前に、これらの情報だけで内覧するかどうかを決めます。 そのため、どのサイトに掲載するかよりも、「どんな内容で掲載されるか」の方が、売却成功には遥かに重要なのです。       あなたの物件がポータルサイトに掲載されるまでの流れ 売主様の不動産が実際にポータルサイトに掲載され、買主から問い合わせが来るまでの流れを見ていきましょう。 媒介契約締結から掲載までの4つのステップ ポータルサイトへの掲載は、以下のような流れで進みます。 ステップ1:媒介契約の締結 売主様が不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を正式に依頼します。 媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。 【媒介契約の種類と専任媒介との違いを徹底解説】   ステップ2:ポータルサイトへの物件登録 不動産会社は、契約しているポータルサイトへ登録します。 この際、物件の魅力を伝える写真撮影やPR文の作成が行われます。   ステップ3:買主や他社からの問い合わせ ポータルサイトを見た買主、または買主候補を顧客として抱える他の不動産会社や建築会社が、掲載している不動産会社に連絡します。   ステップ4:内覧調整から契約へ 問い合わせを受けた不動産会社が内覧日程を調整します。 内覧後、売主と買主の条件が合えば売買契約へと進みます。   この一連の流れの中で、特に重要なのがステップ2の「どのような内容で掲載されるか」という点です。       売主が知らないと損する!ポータルサイト掲載の落とし穴 ポータルサイトは強力な集客ツールですが、その特性を理解していないと、かえって売却活動が不利になることがあります。 写真と情報がすべて:第一印象で問い合わせが決まる 買主は、実際に物件を見る前に、ポータルサイトに掲載された情報だけで判断します。 つまり、写真と物件情報があなたの不動産の「すべて」を語ることになるのです。 どんなに素晴らしい立地や間取りの物件でも、写真が暗かったり、枚数が少なかったり、魅力が伝わらない撮り方をしていれば、買主の目に留まることはありません。   実際、私たちが相談を受ける売主様の中には、「何ヶ月も問い合わせが来ない」と悩んでいる方がいらっしゃいます。 その物件のポータルサイト掲載内容を確認すると、写真が少ない、暗い、PR文が定型文のみ、といったケースが多いのです。 逆に、掲載内容を改善しただけで、契約まですぐに締結できた事例もあります。   売却活動において、ポータルサイトの掲載内容は「営業マンの第一声」に相当する重要な要素だと認識してください。 「囲い込み」のリスクと両手仲介の問題 不動産業界には、「囲い込み」と呼ばれる悪質な商習慣が存在します。 囲い込みとは、売主と買主の両方から仲介手数料を得る「両手仲介」を目的として、自社で買主を見つけることを優先し、他社からの問い合わせを意図的に断る行為です。 具体的には、他社から「この物件を内覧させてほしい」と連絡があっても、「すでに申込みが入っている」「売主が内覧を断っている」などと虚偽の理由を伝え、情報を遮断します。   売主様からすれば、本来なら売却できたはずの機会を失っているわけです。 しかも、売主様は他社からの問い合わせがあったことすら知らされないため、気づくことができません。 囲い込みは売主様の利益を大きく損なう行為です。 信頼できる不動産会社を選ぶことが、このリスクを避ける最善の方法となります。 媒介契約選びで陥りがちな煩雑化の罠 「売却のチャンスを増やすために、複数社に依頼した方がいいのでは?」 そう考えて一般媒介契約を選択される売主様もいらっしゃいます。 確かに、一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に依頼できる自由度があります。   しかし、ポータルサイトでの情報掲載という観点から見ると、一般媒介契約には注意すべき点があるのです。 複数社が同じ物件を掲載しても、買主が使うサイトは限られているため、問い合わせ数は思ったほど増えません。 むしろ、各社からの報告や連絡が重なり、情報管理が煩雑になります。   さらに、不動産会社間での情報共有義務がないため、同じ買主候補から何度も交渉を受けることもあります。   一般媒介契約の詳しいメリット・デメリットについては、別記事で詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。 一般媒介契約を選ぶ場合でも、依頼する会社は少数に絞ることをおすすめします。   【一般媒介契約で複数社に依頼するデメリットの詳細】       売却を成功させるための確認ポイント ここまで見てきたリスクを踏まえて、売却を成功に導くための具体的なポイントを解説します。 掲載内容は必ずチェック!魅力が伝わる写真とPR文 ポータルサイトへの掲載が始まったら、必ず掲載内容を自分の目で確認しましょう。 確認すべきポイントは以下の通りです。   ①写真の質と枚数 明るく、部屋が広く見える写真になっているか 各部屋の特徴が伝わる角度で撮影されているか 十分な枚数が掲載されているか(建物なら最低でも10枚以上が望ましい)   ②PR文の内容 物件の魅力が具体的に書かれているか 立地の利便性や周辺環境の情報があるか 定型文だけでなく、独自のアピールポイントが記載されているか   ③地図上のピン位置の正確性 ポータルサイトには物件の所在地を示す地図が表示されますが、このピンの位置が正確かどうかも必ず確認してください。 ピンの位置がずれていると、買主候補が「駅から遠い」「周辺環境が悪い」と誤解し、問い合わせを諦めてしまう可能性があります。   もし掲載内容に不満がある場合は、遠慮せずに不動産会社に改善を依頼してください。 写真の撮り直しや、PR文の修正は、売主様の大切な権利です。 私たちあこう不動産では、売主様に掲載内容を必ず確認していただいております。 信頼できるパートナー選びが成功の鍵 不動産売却は、不動産会社との二人三脚で進める作業です。 信頼できるパートナーを選ぶことが、何よりも重要です。 パートナー選びのチェックポイントは以下の通りです。   ・専門知識と経験 宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー(FP)などの資格を持ち、不動産全般に関する知識が豊富な担当者であるか。   ・地域密着の実績 売却する地域での取引実績があり、地域の相場や買主のニーズを理解しているか。   ・コミュニケーションの質 質問に対して丁寧に答えてくれるか、定期的に活動報告をしてくれるか。   ・透明性のある姿勢 囲い込みのような不透明な行為をせず、売主様の利益を最優先に考えているか。 一括査定サイトとポータルサイトの違いを理解する 最後に、混同されやすい「ポータルサイト」と「一括査定サイト」の違いを整理しておきましょう。   ・ポータルサイト:物件を探す場所 ポータルサイトは、買主が物件を探すための場所です。 不動産会社が物件情報を掲載し、買主がその情報を見て問い合わせます。   ・一括査定サイト:不動産会社を探す場所 一括査定サイトは、売主が不動産会社を探すための場所です。 物件情報を入力すると、複数の不動産会社から査定額が提示されます。 【一括査定サイトのメリットデメリット】   両者は目的が全く異なります。 売却を成功させるには、まず査定サイトなどを活用して信頼できる不動産会社を見つけ、その会社がポータルサイトに魅力的な形で物件を掲載してくれることが理想です。 ただし、一括査定サイト経由で多数の会社に査定を依頼すると、営業電話が殺到して対応が大変になることもあります。       よくある質問 Q.ポータルサイトへの掲載は無料ですか? A. 売主様には費用負担はありません。 ポータルサイトへの掲載費用は、不動産会社が負担します。   売主様が支払うのは、売買契約が成立した際の仲介手数料のみです(宅地建物取引業法で上限が定められています)。 【不動産売却の一般的な流れと手数料について】 Q.レインズに登録されているか確認する方法はありますか? A. 専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んだ場合、不動産会社は登録後に「登録証明書」を交付する義務があります(宅地建物取引業法)。   この証明書には、登録番号や登録日が記載されています。 証明書を受け取ったら、記載されている情報をもとに、実際にレインズに登録されているかを確認することも可能です。 もし証明書が交付されない場合は、不動産会社に確認を求めましょう。 Q.問い合わせが来ないのですが、どうすればいいですか? A. まずは掲載から2週間から1ヶ月程度の反応を見て、問い合わせがない場合は原因を分析する必要があります。 主な原因として考えられるのは、以下の3点です。   ・価格が市場相場より高い 周辺の類似物件と比較して、価格を見直す必要があるかもしれません。   ・掲載内容の魅力が不足 写真の質や枚数、PR文の内容を改善することで、問い合わせが増える可能性があります。   ・時期的な要因 不動産市場には繁忙期と閑散期があります。   担当の不動産会社に相談し、これらの要因を一つずつ検討して、戦略を見直しましょう。 放置せずに早めに対策を打つことが、売却成功への近道です。 【不動産売却が長引く原因と値下げのタイミング】       まとめ:ポータルサイトの仕組みを理解して、スムーズな売却を実現しよう 不動産売却において、ポータルサイトは買主との最初の接点となる重要なツールです。 しかし、その仕組みを理解せずに売却活動を始めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまり、売却の機会を逃してしまうリスクがあります。 この記事でお伝えした重要なポイントを、改めて整理します。   ・ポータルサイトの掲載内容が売却成否を左右する 写真と情報が「すべて」です。 掲載内容は必ず自分の目で確認し、必要であれば改善を依頼しましょう。   ・信頼できるパートナー選びが最重要 囲い込みのリスクを避け、透明性のある売却活動を実現するには、信頼できる不動産会社を選ぶことが何よりも大切です。   ・媒介契約は慎重に選ぶ 一般媒介契約には情報管理の煩雑化というデメリットがあります。 信頼できる会社が見つかっているなら、専任媒介契約を検討する価値があります。   ・反応がない時は速やかに戦略を見直す 売却活動は「待ち」ではなく「改善」の連続です。 状況によって、柔軟に対応していきましょう。   私たちあこう不動産は、長崎県大村市を拠点に、地域密着で不動産売買の仲介を行っています。 オンラインでの対応も可能ですので、遠方にお住まいの方もお気軽にご相談ください。 不動産売却は人生における大きな決断です。 ポータルサイトの仕組みを正しく理解し、信頼できるパートナーと共に、納得のいく売却を実現していきましょう。   ▼無料相談のお申し込みはこちらから   [不動産について相談する]   [無料査定を依頼する]   [LINEで相談する]   不動産のことなら株式会社あこう不動産にお任せください。長崎県大村市を中心に、地域密着で不動産売買のサポートを行っています。
Blog 2025.11.21
一般媒介契約にデメリットはある?|販売意欲の低下と所有者負担増加
不動産売却を検討する際、「売却のチャンスを増やすために、複数の仲介業者に依頼した方がいいのでは?」と考える方は多いのではないでしょうか。   この考え方に基づいて選ばれることが多いのが、一般媒介契約です。 確かに、複数の業者に依頼することで選択肢が増えるような印象を受けるかもしれません。 しかし実は、その自由度の高さが売主様にとって思わぬ落とし穴やリスクとなることがあります。   本記事では、一般媒介契約の利用を検討している売主様が失敗しないよう、具体的なデメリットと対策方法について詳しく解説します。 一般媒介契約とは|専任媒介との違いを理解する 不動産の売却を仲介業者に依頼する際には、複数の契約形態から選択することができます。 ここでは、一般媒介契約と専任媒介契約の違いを理解することが重要です。 一般媒介契約の特徴 一般媒介契約とは、売主様が同時に複数の仲介業者と契約を結ぶことができる契約形態です。   複数業者への依頼が可能という利点がある反面、仲介業者側への法定報告義務や情報登録義務が存在しません。 つまり、仲介業者がどのような販売活動を行っているのか、売主様が把握しにくい契約形態といえます。 専任媒介契約との比較 これに対して、専任媒介契約は売主様が1社の仲介業者のみと契約を結ぶ形態です。   専任媒介契約では、仲介業者に対して2週間に1回以上の販売活動の報告義務と不動産流通標準情報システム(レインズ)への登録義務が宅地建物取引業法で定められています。 媒介契約の詳細は下記ブログ記事にて解説しています。 【媒介契約の種類と専任媒介との違いを徹底解説】       一般媒介契約のデメリット|4つの具体的なリスク 一般媒介契約を選択することで、売主様が直面する可能性のある課題を具体的に見ていきましょう。 仲介業者の販売意欲低下と優先順位の低下 不動産仲介の報酬は、物件が売却して初めて得られる成功報酬制です。 一般媒介では、他の業者に物件を売却されてしまうと、それまでの営業努力と広告費がすべて無駄になってしまいます。   この構図では、仲介業者は以下のような行動を取りやすくなります。 新聞折込チラシやWEB広告などの積極的な広告投資を控える傾向 人件費をかけた営業活動を後回しにする傾向 報酬が確実に得られる専任媒介契約や専属専任媒介契約の物件を優先する傾向   結果として、一般媒介で依頼された物件は、仲介業者内での優先順位が自動的に低くなってしまうのです。 【不動産売却が長引く原因と値下げのタイミング】 販売活動が「見えない」ことの危険性 一般媒介契約には、専任媒介にあるような法律で定められた活動報告義務がありません。 そのため、売主様が定期的に各業者へ連絡を取らなければ、物件が放置されるリスクが生じます。 内見件数や問い合わせ件数などの販売状況を把握できないままでは、売却機会を逃す可能性が高まるのです。   さらに、不動産流通標準情報システム(レインズ)への登録が義務ではないという点も大きな問題です。 仲介業者が登録を先送りにしたり、登録しなかったりすることで、全国の仲介業者からの買主紹介ルートが限定されてしまい、売却機会を損ねるリスクがあります。 ポータルサイトでの掲載による落とし穴 複数の仲介業者が同じ物件をポータルサイト(Suumoやat-homeなど)に掲載することで、予期しない弊害が生じます。 買主が物件探しをする際、主要なポータルサイトは限定的です。 複数の業者が同じ物件情報を掲載しても、新たな買主層へ情報が届くわけではないという実態があります。   むしろ、買主にとっては以下のように認識されてしまいます。 「この物件はなかなか売れない物件なのではないか」 「どこに問い合わせても同じ情報だ」   このように、物件の新鮮味や稀少性が薄れてしまう可能性があり、購買意欲の低下につながるのです。 売主様の管理負担増加と二重交渉 複数の仲介業者とのやり取りは、売主様側の時間的・精神的な負担を大きく増加させます。 契約手続きや問い合わせ対応、内覧調整など、すべての作業を複数の担当者と個別に行う必要があり、対応に疲弊しがちです。   さらに、仲介業者間の情報共有がないため、二重交渉が発生する可能性があります。 例えば、A業者経由で交渉した買主が、後日B業者に問い合わせて再び値引き交渉を試みるようなケースです。 売主様は既に断った交渉内容を、別の窓口から何度も受けることになり、精神的・時間的な負担が大幅に増えてしまうのです。 【不動産売買でよくある業者とのトラブル事例】       一般媒介で失敗しないための4つの対策 一般媒介契約を選択する場合、以下の対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。 依頼先を厳選し、少数に絞る 一般媒介で複数業者に依頼する場合、管理負担を減らし、各業者のモチベーションを維持するためにも、依頼先を最大でも3社程度に絞ることが重要です。   業者選びのポイントは以下の通りです。 地域の不動産市場に精通している業者か 実績や評判が確認できるか 担当者の対応が丁寧であるか   厳選することで、各業者との関係が深まり、対応の質も向上する傾向にあります。 売主様側から主体的に進捗確認する方法 仲介業者からの報告がなくても、売主様側から定期的に連絡を取ることが不可欠です。 最低でも2週間に1回程度のペースで、各業者に対して販売状況の確認を行うことをお勧めします。   確認時に尋ねるべき項目は以下の通りです。 内見件数 問い合わせ件数 購入希望者からの質問内容 物件に対する市場評価 必要に応じた販売価格の見直し   このように主体的に関与することで、物件が放置されるリスクを大幅に低減できます。 レインズ登録を確保する レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録を、媒介契約書に明記の上、一般媒介契約を締結することも重要です。 レインズに登録することで、全国の仲介業者が物件情報にアクセスできるようになり、買主紹介ルートが拡大します。   登録時期についても「媒介契約締結から〇日以内に登録する」と明確に定めておくことで、情報流通の遅延を防ぐことができるのです。 契約時に業者が難色を示す場合は、その業者を選定対象から外すことも視野に入れましょう。 【媒介契約書で確認すべき事の詳細】 他社成約時の通知義務を忘れずに 複数業者に依頼している場合、他社経由で契約が成立した際は、媒介契約を結んでいるすべての仲介業者に対して、遅滞なく通知する義務が売主様にはあります。 この通知義務を怠ると、費用を請求されるリスクが発生します。   特に一般媒介では業者間の情報共有がされないため、売主様自らが各業者に通知することが必須です。 契約成立時には、すぐさま他の業者に連絡を取り、媒介契約を解除することをお勧めします。       よくある質問 不動産売却と一般媒介契約についてのご質問にお答えします。 Q. 一般媒介契約は本当に避けるべき契約形態なのでしょうか A. 一般媒介契約が悪い選択肢ではありません。   例えば、売主様が複数の業者の意見を広く集めたい場合や、特殊な物件の場合など、状況によっては有用です。 ただし、確実に売却したい場合や、急いで売却する必要がある場合は、専任媒介契約の方が適切といえます。 Q. レインズ登録の重要性を改めて教えてほしい A. レインズ登録により、全国の仲介業者が物件情報を閲覧でき、潜在的な買主へのアクセスが広がります。   ただし、現在はポータルサイトが買主の主要な集客ルートであり、レインズ登録のみに頼るべきではありません。 重要なのは、レインズ登録とポータルサイトの両方をしっかり活用し、複数の流入ルートを確保することです。 一般媒介では登録が義務ではないため、媒介契約書に明記することで、情報流通の確保を図る必要があるのです。 Q. 一般媒介で売却できない場合、他の契約形態に変更できるか A. 可能です。 ただし、一般媒介契約の解除手続きと新しい契約形態の締結手続きが必要になります。 契約変更前に、現在の仲介業者に理由を確認し、改善の余地があるか検討することもお勧めします。       まとめ~一般媒介契約で成功させるために 一般媒介契約は、複数業者への依頼が可能という自由度がある反面、仲介業者の販売意欲低下や売主様の管理負担増加といった具体的なリスクがある契約形態です。 ポータルサイトでの情報鮮度の喪失や二重交渉といったトラブルも、一般媒介ならではの課題といえます。   ただし、以下の4つの対策を講じることで、リスクを軽減できます。 依頼先を厳選し、最大3社程度に絞ること 最低でも2週間に1回のペースで主体的に進捗確認すること レインズ登録を媒介契約書に明記すること 他社で成約した際は、速やかにすべての仲介業者に通知すること   不動産売却は、人生における重要な決断です。 契約形態の選択も同様に重要な判断であり、売主様のご状況やご目標に応じた最適な選択が必要です。 不安や疑問がある場合は、まずはお気軽にご相談ください。 無料相談は下記からお申し込みいただけます。   ▼無料相談のお申し込みはこちらから   [無料査定を依頼する]   [不動産について相談する]   [LINEで相談する]   不動産のことなら株式会社あこう不動産にお任せください。長崎県大村市を中心に、地域密着で不動産売買のサポートを行っています。
Blog 2025.11.14
不動産売却の告知義務|告知書に何を書くべきか、書かないとどうなるのか
不動産を売却する際、多くの方が価格交渉や引渡し時期に注目しがちです。 しかし、「告知義務」という売主の重要な責任を軽視してしまうと、売却後に予想外のトラブルに巻き込まれる可能性があります。   「雨漏りがあったけど、修理したから大丈夫だろう」 「隣の家との境界線が曖昧だけど、今まで問題なかったし」   こうした軽い気持ちで物件の状態を伝えなかった結果、買主から損害賠償を請求されたり、契約解除を求められたりするケースが実際に発生しています。 この記事では、不動産売却において売主が必ず知っておくべき「告知義務」について、具体的にどんな情報を伝える必要があるのか、そして告知を怠るとどんなリスクがあるのかを詳しく解説していきます。 告知義務とは?売主が負うべき責任を正しく理解する 不動産売買における告知義務の基本的な考え方と、法的な責任について解説します。 告知義務の法的な意味 不動産売買における告知義務とは、売主が知っている物件の重要な事項を、買主に対して正確に説明する義務のことを指します。 特に中古物件の取引では、買主は物件を実際に見ても気づかない欠陥や問題点が存在する可能性があります。   売主は物件に長く住んでいたり、所有していたりする中で、物件特有の不具合や周辺環境の特徴を把握している立場にあります。 そのため、買主が購入を判断する上で重要となる情報を提供する責任があるのです。(民法) この告知義務は、買主が物件の状態を正しく理解し、納得した上で契約を結ぶために欠かせない手続きといえます。 告知しないと何が起こるのか(損害賠償・契約解除のリスク) 告知義務を怠った場合、売主には深刻な法的責任が発生する可能性があります。 もし売主が不具合や問題点を知りながら買主に伝えなかった場合、たとえ売買契約書に「売主は責任を負わない」という特約が記載されていたとしても、その特約は無効となる可能性が高いのです。 【売買契約書の確認事項】   具体的には、以下のような法的責任を問われることがあります。 修繕費用の負担 :不具合の修理にかかる費用を売主が負担する 代金減額請求 :物件の価値が下がった分の返金を求められる 損害賠償請求 :買主が被った損害の賠償を求められる 契約解除 :契約そのものを取り消される 【契約不適合責任とは】   特に、雨漏りやシロアリ被害、地中埋設物などの物理的な欠陥や、過去の事件・事故といった心理的瑕疵を隠していた場合は、高額な賠償請求に発展するケースもあります。 「知らなかったことにしよう」という考えは、結果的に大きな経済的損失を招くリスクがあることを理解しておきましょう。 【建物売却トラブル事例】 告知すれば責任を回避できる仕組み 一方で、告知義務を正しく果たすことで、売主は将来のトラブルから身を守ることができます。 重要なポイントは、売主が知っている欠陥や不具合を事前に買主に説明し、買主がそれを了解・容認した上で契約した場合、その説明した欠陥や不具合について売主は原則として責任を問われなくなります。   たとえば、「過去に雨漏りがあり、5年前に修理しました。その後は問題ありませんが、再発の可能性はゼロではありません」と正直に伝えた上で買主が納得して購入すれば、万が一また雨漏りが発生しても、売主は責任を問われにくくなります。   告知義務は、売主にとって「面倒な義務」ではなく、自分自身を守るための重要な手続きなのです。 正直に情報を開示することで、買主との信頼関係を築き、安心して取引を完了させることができます。       物件状況確認書(告知書)に書くべき項目 物件状況確認書は、売主しか知り得ない情報を買主に伝えるための重要な書類です。 具体的にどんな項目を記載すべきか、カテゴリー別に詳しく見ていきましょう。 建物に関する告知事項(雨漏り・シロアリ・傾きなど) 建物の物理的な状態に関する情報は、買主の購入判断に大きく影響します。   主な告知項目は以下の通りです。 雨漏りの有無 現在雨漏りしているかだけでなく、過去に雨漏りがあって修理した履歴も必ず記載してください。 「もう直したから大丈夫」と考えて伝えないと、後々トラブルになる可能性があります。   シロアリ(白蟻)の被害や駆除歴 過去に被害があった場合や駆除を行った時期、その後の定期点検の有無なども含めて伝えることが大切です。   建物の傾き、腐食、サビなどの構造的な不具合 床が傾いている、柱に亀裂がある、外壁にサビが出ているなど、気づいた点は具体的に記載してください。   給排水施設の故障や漏水 水道管からの漏水、排水の詰まり、給湯器の不具合などがあれば記載しましょう。   増改築・修繕・リフォームの履歴 特に、壁や柱を撤去するなど構造耐力に影響を及ぼす可能性のある変更を行った場合は、詳しく記載する必要があります。   火災の被害状況(ボヤなどの軽微なものを含む)   石綿(アスベスト)の使用調査結果の記録の有無   建物状況調査(インスペクション)の実施状況   耐震診断に関する資料の有無   これらの情報を正確に記載することで、建物の状態を買主に正しく理解してもらうことができます。 土地に関する告知事項(境界・越境・地中埋設物など) 土地に関する情報は、将来的な近隣トラブルを防ぐために非常に重要です。   主な告知項目は以下の通りです。 隣地との境界が確認できるか 境界杭や境界標が設置されているか、隣地所有者との間で境界確認が済んでいるかを明記してください。 境界が曖昧な場合、後々隣地とのトラブルに発展する可能性があります。 【隣人トラブルが不動産売却に及ぼす影響】   屋根や植木などの隣地や道路への越境 自分の建物の屋根が隣地にはみ出している、庭木の枝が隣の敷地に伸びているといった状況があれば、具体的に伝えましょう。   擁壁の所有者や亀裂の状況 擁壁に亀裂や傾きがある場合、将来的に崩落のリスクがあるため、必ず記載してください。   地盤の沈下や軟弱 過去に地盤沈下があった、建物が傾いた経験がある場合は、その詳細を記載しましょう。   土壌汚染に関する情報 把握している範囲で記載してください。 特に、過去に工場や事業所として使用されていた土地の場合は注意が必要です。   地中埋設物(旧建物の基礎、使用していない浄化槽、井戸など) これらの埋設物は、買主が建物を新築する際に撤去費用が発生する可能性があるため、知っている情報はすべて伝えるようにしましょう。   土地に関する正確な情報提供は、買主が安心して土地を活用するための基礎となります。 周辺環境に関する告知事項(騒音・浸水・近隣施設など) 物件そのものだけでなく、周辺環境に関する情報も告知義務の対象です。   主な告知項目は以下の通りです。 騒音・振動・臭気の発生源と状況 一般的な観点から判断して気になると思われる場合に記載します。 たとえば、近隣に工場があって日中に機械音が聞こえる、幹線道路沿いで交通騒音がある、飲食店からの臭いが気になるといった状況です。 「自分は気にならない」と思っても、買主にとっては重要な判断材料になる可能性があります。   浸水の事実 床上・床下を問わず必ず記載してください。 過去に台風や豪雨で浸水した経験がある場合、その時期や被害状況を具体的に伝えましょう。 また、周辺地域が浸水の多い地域である場合も、その事実を記載する必要があります。   売買物件に影響を及ぼすと思われる周辺施設 たとえば、ゴミ集積所が目の前にある、近くに暴力団事務所がある、墓地が隣接しているといった情報は、買主の購入判断に影響する可能性があるため、記載が必要です。   近隣の建築計画 隣地で大きなマンションが建設される予定がある、目の前に高層ビルが建つ計画があるといった情報を知っている場合は、必ず伝えましょう。   これらの環境情報を正直に伝えることで、買主が実際に住んでから「こんなはずじゃなかった」と感じるリスクを減らすことができます。 心理的瑕疵に関する告知事項(事件・事故の履歴) 物理的な問題だけでなく、心理的な影響がある事実も告知義務の対象です。 過去に起きた事件・事故で、買主に心理的影響があると思われる事実があれば、その内容を記載する必要があります。 具体的には、売買物件での自殺、殺傷事件、特殊清掃が行われた自然死などが該当します。   「何年も前のことだから」「もう関係ないだろう」と判断するのではなく、事実を正直に伝えることが重要です。 近年、国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、告知すべき範囲や期間について一定の基準が示されていますが、判断に迷う場合は必ず不動産会社の担当者に相談してください。   心理的瑕疵の告知を怠った場合、物理的な欠陥以上に大きなトラブルに発展する可能性があるため、慎重に対応しましょう。 引き継ぐべき事項(自治会の取り決めなど) 物件を購入した後、買主が引き継ぐ必要がある事項も告知の対象です。 近隣地域(自治会・町内会等)での協定や取り決めについて、知っている情報は記載してください。   たとえば、以下のような項目が該当します。 ゴミ集積場所の当番制や清掃ルール 自治会費や町内会費の金額と支払い方法 地域の祭りやイベントへの参加の習慣 共用部分(道路、公園など)の管理ルール 駐車場の使用に関する取り決め   これらの情報は、日常生活に直結するため、買主にとって非常に重要です。 「購入してから知った」とならないよう、事前にしっかり伝えることで、スムーズな引き継ぎが可能になります。       付帯設備表との違いと正しい記入方法 物件状況確認書とあわせて、売買契約時には「付帯設備表」も重要な書類となります。 付帯設備表の目的は、売買対象となる設備の有無と、判明している故障・不具合の具体的内容を明らかにすることです。 物件状況確認書が「物件全体の状態や周辺環境」を説明するのに対し、付帯設備表は「個別の設備」に焦点を当てた書類といえます。   対象となる設備の例としては、以下のようなものがあります。 給湯設備(給湯器、ボイラーなど) キッチン設備(ガスコンロ、IHクッキングヒーター、換気扇、食器洗浄機など) 浴室設備(浴槽、シャワー、換気扇など) トイレ設備(温水洗浄便座など) 空調設備(エアコン、床暖房など) 照明器具 物置、カーポート   引渡し時の状況を記入することが重要なポイントです。 付帯設備表に記載する「設備の有無」は、売買契約締結時ではなく、買主に引き渡す時点の状況を記入します。 たとえば、契約時にはエアコンが設置されていても、引き渡しまでに撤去する予定であれば「無」にチェックをつけます。 備考欄に「撤去予定」などと記載すると親切です。   善良な管理者としての注意義務も忘れてはいけません。 売主は、買主に引き渡す付帯設備について、引き渡しまでの間は善良な管理者としての注意義務をもって契約時の状態を保持するように努めなければなりません。 つまり、契約してから引き渡しまでの間に、適切な管理を怠って状態を悪化させたりしてはいけないということです。   具体的な記入時の注意点としては、以下が挙げられます。 「判明している故障・不具合の具体的内容」欄には、できるだけ詳しく記載する 「時々作動しない」「音が大きい」など、完全に壊れていなくても気になる点は記載する 備考欄を活用して、補足情報を追加する   付帯設備表も物件状況確認書と同様に、曖昧な記載や情報の隠蔽は後々のトラブルの原因となります。 正直かつ詳細に記入することで、安心して売却を進めることができます。       告知書作成で失敗しないための3つのポイント 告知書を正しく作成し、トラブルを未然に防ぐための重要なポイントをまとめました。 知っていることは全て具体的に書く 告知書作成で最も重要なのは、売主が知っている不具合や瑕疵を正確に、詳細に記載することです。 「これくらいなら書かなくてもいいかな」という自己判断は禁物です。 法律上の責任を回避するためには、少しでも気になる点があれば、すべて記載するという姿勢が大切です。 たとえば、「10年前に一度だけ雨漏りがあったが、すぐに修理して以降は問題ない」という情報でも、買主にとっては重要な判断材料になる可能性があります。   また、「自分は気にならないけど、他の人は気になるかもしれない」という視点も重要です。 騒音や臭気、周辺施設などの環境要因は、人によって感じ方が大きく異なります。 自分の基準ではなく、「一般的な人が気になる可能性があるか」という観点で判断しましょう。 曖昧な表現を避け、第三者が理解できる記載を心がける 告知書の記載内容が曖昧だと、将来的に買主との間で認識のズレが生じ、トラブルの原因となります。 設備の不具合についても、「時々調子が悪い」ではなく、「冬場に給湯器の点火に失敗することがある」といった具体的な状況を記載することで、買主が正確に状態を把握できます。 「判明している故障・不具合の具体的内容」欄や「備考欄」を積極的に活用し、第三者が読んでも理解できるように具体的に記入してください。 判断に迷ったら不動産会社に相談する 告知書を作成する中で、「これは書くべきかどうか」「どこまで詳しく書けばいいのか」と迷う場面が必ずあります。 そんな時は、一人で判断せず、必ず不動産会社の担当者に相談してください。 不動産会社は多くの売買取引を扱っており、どのような情報が「重要な事項」にあたるのか、過去の事例を踏まえてアドバイスしてくれます   特に、心理的瑕疵や周辺環境に関する事項は、告知すべきか否かの判断が難しい場合があります。 専門家の意見を聞くことで、適切な記載内容を確定させることができます。 当社では、告知書作成のサポートも丁寧に行っておりますので、遠慮なくご相談ください。 よくある質問 不動産売却における告知義務について、よくいただく質問にお答えします。 Q.自分も知らなかった不具合が後から見つかった場合は? A. 売主が本当に知らなかった不具合については、原則として責任を問われにくいとされています。   告知義務は「売主が知っている情報」を伝える義務であり、売主自身が認識していなかった欠陥まで責任を負わせるものではありません。 ただし、「知らなかった」と主張しても、「通常の注意を払っていれば気づくはずだった」と判断される場合は、責任を問われる可能性があります。   そのため、売却前には物件の状態をできるだけ丁寧に確認し、気になる点があれば専門家に調査を依頼することも一つの方法です。 また、建物状況調査(インスペクション)を実施することで、専門家の目で建物の状態をチェックしてもらうことができます。 【インスペクションとは?】 Q.告知書は誰が作成するのですか? A. 告知書は売主が作成します。   不動産会社が用意した書式に、売主自身が記入する形が一般的です。 売主しか知り得ない情報を記載する書類であるため、不動産会社が代わりに記入することはできません。 ただし、記入方法がわからない場合や、どこまで詳しく書けばいいのか迷う場合は、不動産会社の担当者がサポートしてくれます。   当社では、告知書の記入方法について丁寧にご説明し、記載内容のチェックも行っておりますので、初めて不動産を売却される方でも安心です。 わからないことがあれば、遠慮なく質問してください。     まとめ:告知義務を正しく果たして安心の不動産売却を 不動産売却における告知義務は、売主にとって「面倒な義務」ではなく、将来のトラブルから自分自身を守るための重要な手続きです。 物件状況確認書(告知書)には、建物の不具合、土地の状況、周辺環境、心理的瑕疵、引き継ぐべき事項など、売主が知っているすべての情報を正直に記載することが求められます。   「これくらいなら言わなくても」という軽い気持ちで情報を隠すと、後々高額な損害賠償や契約解除といった深刻なトラブルに発展する可能性があります。 逆に、正直に情報を開示し、買主がそれを理解した上で契約すれば、売主は原則として責任を負わなくてよいのです。   告知書を作成する際は、以下の3つのポイントを意識してください。 知っていることはすべて具体的に書く 曖昧な表現を避け、第三者が理解できる記載を心がける 判断に迷ったら不動産会社に相談する   付帯設備表についても、引き渡し時の状況を正確に記載し、設備の故障や不具合を具体的に伝えることが大切です。 当社で、告知書の作成から売却完了まで責任を持ってサポートいたします。 宅地建物取引士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ担当者が、お客様の状況に応じた適切なアドバイスを提供し、安心して不動産売却を進めていただけるようお手伝いいたします。 告知義務を正しく理解し、誠実に対応することで、売主も買主も満足できる不動産取引を実現しましょう。 まずはお気軽にご相談ください。無料相談は下記からお申し込みいただけます。   ▼無料相談のお申し込みはこちらから   [不動産について相談する]   [無料査定を依頼する]   [LINEで相談する]   不動産のことなら株式会社あこう不動産にお任せください。長崎県大村市を中心に、地域密着で不動産売買のサポートを行っています。
Blog 2025.11.08
不動産売却時の固定資産税は誰が払う?日割り精算の計算方法と注意点を解説
「固定資産税って、売った後はどうなるんだろう?」 「年の途中で売ったら、税金は誰が払うの?」   実は私も、不動産業界に入る前は「売ったら買主が払うんだろう」と漠然と思っていました。 ところが、実際には少し複雑な仕組みになっています。   この記事では、不動産売却時の固定資産税について、納税義務者は誰なのか、日割り精算とは何か、そして計算方法や注意点まで、初めて不動産を売却する方にもわかりやすく解説していきます。 不動産を売却したら固定資産税は誰が負担するの? 不動産売却を検討している方から、よくこんな質問をいただきます。 「3月に売却したら、その年の固定資産税は買主が払ってくれるんですよね?」   残念ながら、答えは「いいえ」です。 固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日時点で不動産を所有している人です。 つまり、年の途中で売却したとしても、法律上は売主であるあなたが1年分の固定資産税を納める義務があります。   「えっ、それって不公平じゃない?」 そう思いますよね。 そこで、不動産売買の実務では「日割り精算」という慣習が生まれました。 これから、その仕組みを詳しく見ていきましょう。       固定資産税の納税義務者は「1月1日時点の所有者」 固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している登記簿上の名義人に課税される仕組みになっています(地方税法)。 自治体から納税通知書が届くのは、通常4月から6月頃です。   ここで大切なポイントがあります。 年の途中で不動産を売却しても、納税義務者は変わりません。   例えば、2025年8月に不動産を売却したとしましょう。 この場合、2025年1月1日時点では売主であるあなたが所有者でした。 そのため、2025年度の固定資産税は、売主であるあなたが全額納税する義務があります。   買主に名義が移った後でも、その年度の税金の納付書はあなたのところに届き続けます。 自治体は、年の途中で所有者が変わったことを固定資産税の計算には反映しないのです。   このルールを知らずに「売ったから関係ない」と放置してしまうと、未納になってしまいます。 まずはこの基本ルールを押さえておきましょう。       実務では引渡し日を基準に日割り精算するのが一般的 法律上は売主が全額負担と説明しましたが、実際の不動産取引では違う扱いになります。 引渡し日を境に、売主と買主で固定資産税を分担する「日割り精算」が一般的な慣習です。   なぜこのような慣習が生まれたのでしょうか。 理由は簡単です。 売主が所有していない期間の税金まで売主が負担するのは、やはり公平ではないからです。   日割り精算の流れは次のとおりです。 引渡し日より前の期間 → 売主が負担 引渡し日以降の期間 → 買主が負担 そして、買主が負担する分の金額を、決済時に売買代金とは別に売主へ支払います。   注意していただきたいのは、日割り精算は法律上の義務ではなく、あくまで商慣習だということです。 そのため、売買契約書にきちんと記載されていないと、精算されないこともあります。   契約書に「公租公課の精算」や「固定資産税等の日割り精算」という条項があるか、必ず確認しましょう。       固定資産税の日割り計算方法をわかりやすく解説 ここからは、実際にどうやって日割り計算をするのか、具体的に見ていきます。 精算の基準日は「引渡し日」 日割り精算では、引渡し日(決済日)を境界として、売主負担期間と買主負担期間を分けます。 引渡し日当日は、一般的に買主の負担となります。   例えば、2025年6月15日が引渡し日の場合、 売主負担:1月1日(または4月1日)から6月14日まで 買主負担:6月15日から12月31日(または翌年3月31日)まで   このように分けて計算します。 基本的な計算式 日割り精算の計算式は、次のとおりです。   買主負担額 = 年間固定資産税額 ÷ 年間の日数 × 買主の所有日数   年間の日数は、通常365日ですが、うるう年の場合は366日で計算します。 売主は、年間の固定資産税額から買主負担額を差し引いた金額を実質的に負担することになります。 具体的な計算例 実際に数字を使って計算してみましょう。   【前提条件】 年間固定資産税額:12万円 引渡し日:2025年9月1日 起算日:4月1日(関西方式) 2025年は平年(365日)   【計算】 買主の所有日数 = 9月1日〜翌年3月31日 = 212日 買主負担額 = 120,000円 ÷ 365日 × 212日 = 69,698円 売主負担額 = 120,000円 - 69,698円 = 50,302円   つまり、決済時に買主から売主へ不動産の代金とは別に69,698円の精算金が支払われます。 この計算により、売主は実質的に約5万円の負担、買主は約7万円の負担となり、所有期間に応じた公平な分担が実現します。       起算日は関東と関西で違う!地域による精算方法の違い 日割り精算を理解する上で、最も注意が必要なのが「起算日」です。 起算日とは、1年間の始まりをいつとするかという基準日のことです。 実は、この起算日が地域によって異なるため、同じ引渡し日でも精算金額が変わることがあります。 1月1日起算(関東圏に多い) 関東圏では、1月1日を起算日とする慣習が一般的です。 この場合、その年の1月1日から12月31日までを1年間として計算します。   【計算期間】 売主負担:1月1日〜引渡し日の前日まで 買主負担:引渡し日〜12月31日まで   1月1日起算のメリットは、暦年と一致しているため理解しやすいことです。 4月1日起算(関西圏に多い) 一方、関西圏では、4月1日を起算日とする慣習が主流です。 長崎県大村市も、4月1日を起算日とすることが主流です。   【計算期間】 売主負担:4月1日〜引渡し日の前日まで 買主負担:引渡し日〜翌年3月31日まで   4月1日起算の場合、年をまたぐ取引では計算がやや複雑になることがあります。 どちらを選ぶべき? 「じゃあ、どっちで計算すればいいの?」 これは、取引する地域の慣習に従うのが基本です。 ただし、最も重要なのは、売買契約書に起算日を明確に記載し、売主・買主双方が合意することです。   「1月1日を起算日として固定資産税等を日割り計算する」 「4月1日を起算日として固定資産税等を日割り計算する」   このように、契約書に明記されていれば、後からトラブルになることはありません。 当社では長崎県大村市を拠点としているため、通常は4月1日起算での精算をご提案しています。       固定資産税精算でトラブルにならないための注意点 日割り精算は一般的な慣習ですが、きちんと対応しないとトラブルの原因になります。 ここでは、失敗しないためのチェックポイントをご紹介します。 起算日は売買契約書に必ず明記する 前の章でも触れましたが、起算日の認識違いは最も多いトラブルです。 売主が「1月1日起算だと思っていた」、買主が「4月1日起算だと思っていた」という食い違いが起これば、精算金額が大きく変わってしまいます。   特に、関東から関西など、県外へ転居のケースでは要注意です。 契約書に「1月1日を起算日とする」または「4月1日を起算日とする」と明記し、不動産会社の担当者にも確認してもらいましょう。 曖昧なまま進めると、決済直前にトラブルになることもあります。 税額確定前は前年度の金額で暫定精算 不動産の引渡し時期によっては、その年の固定資産税額がまだ確定していないことがあります。 このような場合は、前年度の固定資産税額を基準に暫定的に精算する方法が一般的です。   契約書には、「固定資産税等の精算は、引渡し時点で令和◯年度の税額が確定していない場合、令和◯年度の税額をもって計算する」といった条項を入れておきます。 実務上は、固定資産税の金額が大きく変わることは少ないため、前年度の金額での精算で問題になることはほとんどありません。   ただし、建物を解体した場合、大規模な土地開発があった場合、評価替えがあった場合は、税額が大きく変動する可能性があるため注意が必要です。 売却前に未納がないか必ず確認 意外と見落としがちなのが、固定資産税の未納です。 固定資産税が未納のままでは、スムーズに引渡しができない可能性があります。 金融機関によっては、固定資産税の未納があると融資を実行しないケースもあります。   売却を決めたら、未納分がないかチェックしましょう。 もし未納がある場合は、売却前に必ず完納しておくことをおすすめします。 分割納付している場合も、残りの期分がいつまでか把握しておきましょう。 【不動産売却の引渡しの流れ、売買契約後の流れ】 日割り精算の特約があるか契約書をチェック 最後に、もう一度強調しておきたいポイントです。 日割り精算は慣習であり、法律上の義務ではありません。 そのため、売買契約書に「公租公課は日割り精算する」という条項がなければ、精算されないこともあります。   ごくまれに、特約で「固定資産税等の精算は行わない」とされているケースもあります。 この場合、売主は1年分の固定資産税を全額負担することになり、買主から精算金を受け取ることができません。   契約書を受け取ったら、必ず固定資産税の精算に関する条項を確認してください。 わからない場合は、遠慮なく不動産会社の担当者に質問しましょう。 【売買契約書の確認事項】       よくある質問 Q. 固定資産税の精算金は売買代金に含まれますか? A. 固定資産税等の精算金は、売買代金とは別に授受されます。   精算金は、決済時に売買代金と一緒に支払われることが多いため、混同しやすいのですが、売買代金とは別のものとして扱われます。 これは税務上も重要で、精算金は売買代金ではなく「固定資産税の一部を買主が負担した」という性質のものです。   不動産売却の確定申告をする際も、精算金は譲渡価額には含めません。 売買契約書や領収書でも、売買代金と精算金は分けて記載されます。 【短期譲渡所得税と長期譲渡所得税について】 Q. 固定資産税が口座引き落としになっている場合はどうすればよいですか? A. 売却前に口座引き落としを解除する手続きを速やかに行うか、全額納付してから精算するのが安全です。   固定資産税を口座引き落とし(自動振替)にしている場合、売却後も引き落としが続いてしまう可能性があります。 売却が決まったら、自治体に連絡して口座引き落としを解除しましょう。       まとめ 不動産売却時の固定資産税について、重要なポイントをまとめます。 固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日時点で不動産を所有している人です。 そのため、年の途中で売却しても、法律上は売主が1年分を納める義務があります。   しかし、実務では引渡し日を基準に日割り精算するのが一般的な慣習です。 買主が所有する期間分の税金を、決済時に精算金として受け取ることができます。 日割り計算では、精算の起算日が地域によって異なることに注意が必要です。   関東圏では1月1日起算、関西圏では4月1日起算が多いです。 売買契約書には必ず起算日を明記し、売主・買主双方で合意しておきましょう。   また、トラブルを避けるために、 起算日を契約書に明記する 税額確定前は前年度の金額で暫定精算する 売却前に未納がないか確認する 日割り精算の条項が契約書にあるかチェックする   これらの点を必ず確認してください。 不動産売却は、多くの方にとって人生で何度も経験することではありません。 だからこそ、固定資産税のような細かい部分まで理解しておくことが、安心して取引を進めるために大切です。   当社は、宅地建物取引士とファイナンシャルプランナーの資格を持つスタッフが直接対応し、売主様の疑問や不安に丁寧にお答えしています。 不動産売却に関して、わからないことや不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。 まずはお気軽にご相談ください。無料相談は下記からお申し込みいただけます。   ▼無料相談のお申し込みはこちらから   [不動産について相談する]   [無料査定を依頼する]   [LINEで相談する]   不動産のことなら株式会社あこう不動産にお任せください。長崎県大村市を中心に、地域密着で不動産売買のサポートを行っています。
Blog 2025.10.31
不動産売却の第一歩|媒介契約書のチェックリストと注意点
媒介契約は、不動産売却における最初の正式な契約です。 ここで内容をしっかり確認しておかないと、「思ったように売却活動が進まない」「途中で解約したいのにできない」といったトラブルに巻き込まれる可能性があります。   この記事では、媒介契約書で必ずチェックすべきポイントと、契約前に知っておくべき注意点を解説します。 媒介契約って何?まずは基本を押さえよう 媒介契約とは何か、そして契約の種類によってどんな違いがあるのかを簡単に確認しておきましょう。 媒介契約とは不動産会社との約束事を定める契約 媒介契約とは、不動産の売却を不動産会社に依頼する際に結ぶ正式な契約のことです。 宅地建物取引業法(宅建業法)に基づき、不動産会社は売主と媒介契約を結ぶことが義務付けられています。   この契約書には、売却活動の内容、仲介手数料、契約期間、不動産会社と売主それぞれの義務などが明記されます。 口約束ではなく、きちんと書面で約束事を取り決めることで、後々のトラブルを防ぐ役割を果たしています。 契約には3つの種類がある 媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つの種類があります。 それぞれ、依頼できる会社の数、レインズ(不動産流通機構)への登録義務、売主への報告頻度、自分で買主を見つけた場合の取り扱いなどに違いがあります。 【媒介契約の種類】   どの契約を選ぶかによって、売却活動の進め方や不動産会社の対応が大きく変わってきます。 自分の状況に合った契約タイプを選ぶことが、スムーズな売却への第一歩です。       契約書で絶対に見逃してはいけない7つのチェックポイント 媒介契約書には重要な情報がぎっしり詰まっています。 サインする前に、必ず以下の7つの項目を確認しましょう。 契約期間:3ヶ月のルールを理解する 媒介契約には契約期間が定められています。 専任媒介契約と専属専任媒介契約の場合、宅地建物取引業法により契約期間は最長3ヶ月と決められており、自動更新はできません。 3ヶ月を超えて契約を続けたい場合は、改めて更新の手続きが必要になります。   一方、一般媒介契約には法律上の期間制限はありませんが、実務上は3ヶ月程度が一般的です。 契約期間内に売却できなかった場合、契約を更新するか、別の会社に変更するか、あるいは売却自体を見直すかを判断することになります。   「3ヶ月」という期間は、売却活動の成果を見極める重要な区切りだと考えてください。 売却希望価格:査定額の根拠を必ず確認 契約書には、売主と不動産会社が合意した売却希望価格が記載されます。 ここで注意したいのが、根拠のない高額な査定額です。   「高く売りたい」という売主の心理につけこんで、契約を取るために相場よりも高い査定額を提示する会社も残念ながら存在します。 高すぎる価格設定は、かえって売却期間を長引かせ、最終的には値下げを余儀なくされるケースが多いのです。 【不動産売却が長引く原因、値下げのタイミング】   査定額の根拠として、近隣の取引事例や物件の状態、立地条件などを具体的に説明してもらい、適正な価格設定になっているかを必ず確認しましょう。 査定額だけで判断せず、その根拠をしっかり理解することが大切です。 【不動産査定の種類】 仲介手数料:上限額と支払い時期を確認 仲介手数料は、売却が成功したときに不動産会社に支払う報酬です。 宅地建物取引業法により、仲介手数料には上限が定められています。 売却価格が400万円を超える場合、上限額は「売却価格×3%+6万円+消費税」という速算式で計算されます。   契約書には、この上限額と支払い時期が明記されているはずです。 ここで注意したいのが、上限額を超えた報酬や、根拠が不明瞭な広告費用などを請求されていないかという点です。   通常の販売活動にかかる広告費は仲介手数料に含まれていますので、別途請求されることは原則ありません。 特別な広告を依頼した場合のみ、実費を請求されることがありますが、その場合は事前に説明と合意が必要です。 レインズ登録:登録義務と期限を厳しくチェック レインズとは、不動産会社が物件情報を共有するためのネットワークシステムです。 専任媒介契約の場合は契約締結日から7日以内、専属専任媒介契約の場合は5日以内に、不動産会社はレインズへの登録が義務付けられています(宅地建物取引業法)。   レインズに登録されることで、全国の不動産会社が物件情報を閲覧でき、買主候補の幅が広がります。 契約書には、この登録義務と期限が明記されているか、必ず確認してください。   なぜここまで厳しくチェックする必要があるのでしょうか。 それは、一部の不動産会社が行う「囲い込み」というリスクがあるからです。 囲い込みとは、自社で買主も見つけて両方から手数料をもらうために、意図的にレインズへの登録を遅らせたり、他社からの問い合わせを断ったりする行為です。   レインズ登録の有無と期限、そして登録後の証明書の提出を求めることが、囲い込みを防ぐ有効な対策になります。 解除条件と違約金:途中でやめられるのか 契約期間内に「やっぱり売却をやめたい」「別の会社に変更したい」と思った場合、どうなるのでしょうか。 契約書には、解除に関する条件と違約金の規定が記載されています。   売主の都合で契約を解除する場合、不動産会社がすでに行った販売活動にかかった実費を請求される可能性があります。 ただし、不動産会社が契約違反をした場合は話が別です。   例えば、報告義務を怠った、レインズに登録しなかった、不適切な対応があったなどの場合、売主から違約金なしで解除できることが一般的です。 解除の条件や違約金の規定が、契約書にどのように書かれているかを事前に確認しておきましょう。 売主の義務:契約後に何をしてはいけないのか 媒介契約を結ぶと、売主にも守るべき義務が発生します。 特に専任媒介契約と専属専任媒介契約の場合、他の不動産会社に重ねて依頼することは禁止されています。   また、専属専任媒介契約では、自分で買主を見つけて直接取引することも禁止されています。 これらの義務に違反すると、違約金を請求される可能性がありますので注意が必要です。   一般媒介契約の場合は、複数社への依頼も、自己発見取引も可能です。 自分が選んだ契約タイプによって、何ができて何ができないのかを正確に理解しておくことが重要です。 報告義務:どんな報告をいつ受けられるのか 専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上、不動産会社は売主に対して販売活動の状況を報告する義務があります。(宅地建物取引業法)   一般媒介契約には法律上の報告義務はありませんが、契約書で報告頻度を取り決めることは可能です。 報告義務があるからといって、形式的な報告だけで終わっていないかを確認することが大切です。   内覧の件数、買主候補の反応、広告の実施状況など、具体的な販売活動の内容を報告してもらうよう求めましょう。 定期的に具体的な報告を受けることで、売却活動が順調に進んでいるかを把握できます。       知らないと後悔する!媒介契約の落とし穴 契約書の内容を確認するだけでなく、媒介契約に潜むリスクも知っておく必要があります。 「囲い込み」が売却チャンスを奪う 先ほども少し触れましたが、囲い込みは売却を成功させる上で最大の障害となります。 囲い込みとは、不動産会社が売主と買主の両方から仲介手数料を得るために、他社に物件情報を公開しない行為です。   レインズや各種ポータルサイトに登録していても、他社から問い合わせがあると「すでに申し込みが入っています」と虚偽の説明をして断るケースもあります。 その結果、本来であれば興味を持ってくれたはずの買主候補に情報が届かず、売却の機会を大きく失うことになります。   囲い込みを防ぐためには、レインズへの登録証明書の提出を求めること、定期報告の内容を詳しく確認すること、不審な点があれば質問することが重要です。 専任・専属専任媒介契約で気をつけるべきこと 専任媒介契約と専属専任媒介契約は、1社だけに売却を任せる契約です。 不動産会社にとっては確実に売主から仲介手数料が得られるため、積極的に販売活動を行ってくれることが期待できます。 【不動産売買でよくある業者とのトラブル】   しかし、だからこそ報告内容の質が重要になります。 「広告を出しました」「レインズに登録しました」という形式的な報告だけでなく、実際にどれだけの反響があったのか、内覧希望者の反応はどうだったのかなど、具体的な情報を求めるようにしましょう。   また、3~6ヶ月経っても売却できない場合、価格設定や販売方法に問題がある可能性があります。 更新する前に、これまでの活動内容を振り返り、戦略を見直す必要があるかもしれません。 一般媒介契約で気をつけること 一般媒介契約は、複数社に依頼できる自由度の高い契約です。 ただし、この自由度が逆に負担になることもあります 依頼する会社数が多すぎると、各社との連絡や内覧スケジュールの調整が煩雑になり、売主の負担が増えてしまいます。   また、各社に伝える情報が異なってしまうと、買主候補が混乱する原因にもなります。 売却価格や物件情報を統一し、全ての会社に同じ条件を伝えることが大切です。 一般媒介契約を選ぶ場合は、依頼する会社数を2〜3社程度に絞り、情報管理を徹底することをおすすめします。       契約前にやっておくべき3つの準備 媒介契約で失敗しないためには、契約を結ぶ前の準備が何より重要です。 査定の根拠をしっかり聞く 不動産会社から査定額を提示されたら、必ずその根拠を詳しく聞いてください。 近隣の成約事例、物件の状態、立地条件、市場動向など、具体的なデータに基づいて説明してもらいましょう。   査定額が他社と大きく異なる場合は、特に注意が必要です。 高すぎる査定も、低すぎる査定も、それぞれ理由があるはずですので、しっかり確認しましょう。 【不動産査定価格は交渉できる】 担当者の対応や説明の丁寧さを見極める 不動産売却は、数ヶ月にわたって不動産会社と二人三脚で進めていく作業です。 だからこそ、担当者との相性や信頼関係が非常に重要になります。   初回の面談で、以下のような点をチェックしてみてください。 質問に対して丁寧に答えてくれるか。 専門用語を使わず、わかりやすく説明してくれるか。 メリットだけでなく、デメリットやリスクも正直に伝えてくれるか。 売却のスケジュールや戦略を具体的に提案してくれるか。   これらの対応から、その担当者が信頼できるかどうかを判断しましょう。 契約書の内容を事前に確認する時間をもらう 媒介契約書は、その場でサインを求められることが多いですが、焦らずに内容を確認する時間を取ることをおすすめします。 「今日中に契約しないと、この査定額は保証できません」といった急かす態度の会社には注意が必要です。   契約書を事前にもらって、自宅でゆっくり読んでから判断しても何も問題ありません。 わからない点があれば、遠慮せずに質問してください。 きちんと説明してくれる会社であれば、安心して任せられます。       よくある質問 媒介契約について、お客様からよくいただく質問にお答えします。 Q1. 媒介契約を途中で解約できますか? A.はい、解約は可能です。   ただし、売主の都合での解約の場合、不動産会社がすでに行った販売活動にかかった実費を請求される可能性があります。 一方、不動産会社が報告義務を怠った、レインズに登録しなかったなどの契約違反があった場合は、売主から違約金なしで解約できます。 Q2. レインズに登録されているか確認する方法は? A.専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んだ場合、不動産会社はレインズへの登録後、登録証明書を売主に交付する義務があります。(宅地建物取引業法)   この証明書には、登録番号や登録日が記載されています。 証明書を受け取ったら、その内容を確認しましょう。 もし期限を過ぎても証明書が提示されない場合は、不動産会社に確認してみてください。 Q3. 契約期間内に売れなかった場合はどうなりますか? A.契約期間内に売却できなかった場合、いくつかの選択肢があります。   同じ会社と契約を更新する、別の会社に変更する、価格や条件を見直す、一旦売却を保留するなどです。 専任媒介契約と専属専任媒介契約は自動更新されませんので、更新する場合は改めて手続きが必要です。   3ヶ月という期間は、販売戦略を見直す良い機会でもありますので、これまでの活動内容を振り返り、今後の方針を担当者とよく話し合いましょう。       まとめ:媒介契約は慎重に、でも恐れずに 不動産売却の第一歩である媒介契約は、確かに重要な契約です。 でも、ポイントさえ押さえておけば、決して難しいものではありません。   契約期間、売却価格、仲介手数料、レインズ登録、解除条件、売主の義務、報告義務という7つのチェックポイントを確認すること。 囲い込みなどのリスクを知り、それを防ぐための対策を取ること。 そして何より、査定の根拠をしっかり確認し、信頼できる担当者を選ぶこと。   これらを実践すれば、安心して媒介契約を結ぶことができます。 私たちあこう不動産では、初めて不動産を売却される方にも、わかりやすく丁寧に説明することを心がけています。 宅地建物取引士とファイナンシャルプランナーの資格を持つスタッフが、責任を持って最後までサポートいたします。   媒介契約の内容で不安な点があれば、契約前でも契約後でも、お気軽にご相談ください。 大切な不動産の売却を、一緒に成功させましょう。 まずはお気軽にご相談ください。無料相談は下記からお申し込みいただけます。   ▼無料相談のお申し込みはこちらから   [不動産について相談する]   [無料査定を依頼する]   [LINEで相談する]   不動産のことなら株式会社あこう不動産にお任せください。長崎県大村市を中心に、地域密着で不動産売買のサポートを行っています。
Blog 2025.10.24
不動産売却時の委任状|本人不在でも手続きできるケースと注意点
先日、東京にお住まいのお客様から「大村市の実家を売りたいけど、何度も現地に行けないんです」というご相談をいただきました。 不動産の売却は、契約から引渡しまで売主本人が立ち会うのが原則です。   でも、遠方に住んでいたり、仕事の都合で時間が取れなかったり、現実的には難しいケースもありますよね。 そんなときに役立つのが「委任状」です。 委任状があれば、信頼できる代理人に手続きを任せることができます。   ただし、便利な反面、使い方を間違えると大きなトラブルにつながる可能性もあります。 今回は、不動産売却で委任状が必要になるよくあるケースと、失敗しないための注意点を詳しく解説します。 不動産売却は必ず本人が立ち会う必要があるの? 不動産の売却手続きは、原則として売主本人が行うものとされています。 契約書への署名・押印、残代金の受領、鍵の引渡しなど、重要な場面では本人確認が求められるからです。 でも、どうしても本人が立ち会えない事情もあります。   そんなときに使えるのが「委任状」という仕組みです。 不動産売却の一般的な流れはこちら 委任状とは、自分の代わりに特定の手続きを行う権限を、他の人に与えるための書類です。 法律的には「代理権の授与」と呼ばれます。(民法に基づく)   委任状を作成すれば、代理人があなたの代わりに契約や決済の場に立ち会うことができます。 ただし、誰にでも何でも任せられるわけではありません。 委任する権限の範囲を明確にし、信頼できる相手を選ぶことが大前提です。       委任状を取得するよくあるケース 実際に委任状を使うのは、どんな場面でしょうか。 ここでは、不動産売却で委任状が必要になる代表的な3つのケースをご紹介します。 遠方在住で現地に行けない場合 売却したい不動産が遠く離れた場所にあり、何度も足を運ぶのが難しいケースです。 たとえば、東京に住んでいるけれど長崎の実家を売りたい。 こうした状況では、何度も現地で立ち会うのは現実的ではありません。   委任状を作成すれば、現地にいる親族や専門家に手続きを任せることができます。 遠方在住の方にとって、委任状は売却をスムーズに進めるための重要な手段と言えます。 共有名義の不動産で代表者に任せたい場合 複数人で不動産を共有している場合も、委任状が役立ちます。 たとえば、兄弟3人で相続した実家を売却するとします。 全員が契約や決済の場に集まるのは、スケジュール調整が大変ですよね。   そんなときは、他の共有者が代表者に委任し、手続きを一任することができます。 ただし、共有不動産の売却には全員の同意が必要です。 共有不動産・持分売却の注意点はこちら   委任状を作成する際には、「売買契約の締結、代金の受領」というように委任する範囲を明確にしておきましょう。 後からトラブルにならないよう、事前に全員でしっかり話し合うことが重要です。 専門家に登記手続きを依頼する場合 実は、ほとんどの不動産売却で委任状が使われています。 それが、司法書士への委任です。 売却が完了すると、法務局で「所有権移転登記」という手続きを行います。   これは専門的な手続きなので、通常は司法書士に依頼します。 このとき、売主から司法書士へ委任状を渡すのが一般的です。 司法書士は、委任状に基づいて登記申請を代理で行います。 この委任状は、司法書士が用意してくれることがほとんどです。   実印を押した委任状に印鑑証明書を添え、権利証などの必要書類とともに渡すことで、複雑な登記手続きを任せられます。 司法書士への委任は、不動産取引では当たり前に行われている安全な手続きです。       委任状があれば代理人ができること 委任状を作成すると、代理人は具体的にどんな手続きができるのでしょうか。 ここでは、委任できる主な内容を説明します。 媒介契約の締結 不動産を売却するには、まず不動産会社と「媒介契約」を結ぶ必要があります。 代理人は、あなたの代わりにこの媒介契約を締結することができます。 媒介契約とは、不動産会社に買主探しや売却活動を依頼するための契約です。   委任状があれば、代理人が契約書に署名・押印し、売却活動をスタートさせることができます。 ただし、媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があり、それぞれ条件が異なります。 どの種類の契約を結ぶか、売却価格の設定はいくらにするかなど、重要な方針は事前にしっかり話し合っておきましょう。   代理人任せにせず、あなた自身が納得した条件で契約を進めることが大切です。 媒介契約は売却活動の第一歩ですから、慎重に判断する必要があります。 媒介契約の種類と選び方について 売買契約の締結と手付金の受領 代理人は、あなたの代わりに買主と売買契約を結ぶことができます。 契約書への署名・押印、重要事項の確認、手付金の受け取りなど、契約に関わる一連の手続きを行います。   ただし、委任状には「売却価格」を明記しておくべきです。 「どんな条件でも勝手に契約していい」という白紙委任は危険です。 たとえば「○○万円以上で売却すること」「値引き交渉は○○万円まで」といった具体的な条件を書いておきましょう。   契約は売却の第一歩ですから、代理人に任せる範囲をしっかり決めておくことが大切です。 残代金の決済と受け取り 通常売買契約から1〜3ヶ月後、残りの代金を受け取る「決済」が行われます。 代理人は、あなたに代わって買主から残代金を受け取ることができます。 通常、決済は銀行で行われ、その場で数千万円のお金が動きます。   代理人が大金を扱うわけですから、最も信頼できる相手を選ぶ必要があります。 また、受け取ったお金をどう扱うか(どの口座に入金するかなど)も事前に取り決めておきましょう。   決済の場には、司法書士や不動産会社の担当者も立ち会うので、ある程度のチェック機能は働きます。 それでも、最終的に代金を受け取るのは代理人ですから、慎重に考える必要があります。 物件の引渡しと鍵の受け渡し 決済と同時に、物件の引渡しが行われます。 代理人は、建物の鍵や関連書類を買主に渡します。 また、室内の状態を確認したり、設備の説明をしたりすることもあります。   引渡し後は、物件はもう買主のものとなります。 だからこそ、引渡しを代理人に任せるなら、事前に物件の状態や引渡し条件をしっかり確認しておく必要があります。 引渡しが完了すれば、不動産売却の手続きはほぼ終了です。 所有権移転登記の手続き 決済と同じ日に、法務局で「所有権移転登記」を行います。 これは、不動産の名義を売主から買主に変更する手続きです。 この登記手続きは、ほとんどの場合、司法書士に委任状を渡して依頼します。 登記には専門知識が必要で、書類も複雑だからです。   司法書士は、委任状と必要書類(権利証、印鑑証明書など)を使って、法務局に登記申請を行います。 登記が完了すれば、法律的にも正式に所有権が移転します。 登記を司法書士に委任するのは、不動産取引では標準的な流れです。       委任状を使う前に知っておきたいリスクと対策 委任状は便利ですが、使い方を間違えるとトラブルの元になります。 ここでは、委任状を使う際に注意すべきポイントを解説します。 委任する権限の範囲は明確に限定する 委任状を作るとき、最も大切なのは「どこまで任せるか」を明確にすることです。 「不動産売却に関する一切の件」といった曖昧な書き方は避けましょう。 具体的に「この物件を、この価格で、この相手に売る」と書くべきです。   たとえば、以下のような内容を明記します。 物件の所在地(住所) 売却価格(最低価格を設定する) 契約相手(買主が決まっている場合) 契約書の署名押印、金銭の受領などの権限   権限を限定すれば、代理人が勝手に条件を変えたり、別の相手に売ったりすることを防げます。 白紙委任は絶対に避けてください。 信頼できる代理人を慎重に選ぶ 代理人は、あなたの代わりに重要な判断をし、大金を扱います。 だからこそ、配偶者、親、兄弟姉妹など、最も信頼できる人物を選ぶべきです。 「知人だから」「頼まれたから」といった理由で安易に選ぶのは危険です。 代理人選びは、委任状を使う上で最も重要な判断です。 不正利用を防ぐために進捗報告を求める 委任状を渡した後、代理人に「任せっきり」にするのは危険です。 定期的に進捗状況を報告してもらい、手続きが正しく進んでいるか確認しましょう。   たとえば、以下のタイミングで報告を求めます。 買主との交渉状況 契約書の内容(署名前見せてもらう) 決済の日時と場所 代金の受領と入金の確認   不動産取引は専門的で複雑なため、代理人がすべての詳細を把握することは難しい場合があります。 だからこそ、不動産会社の担当者に直接連絡を取り、状況を確認するのが安心です。 契約内容や手続きの進捗、必要書類など、専門的な質問は不動産会社に聞くのが確実です。   代理人を通さず、自分で状況を把握しておくことで、安心して売却を進められます。 委任状を渡しても、最終的な責任は売主本人にあります。       よくある質問 ここでは、委任状に関してよく寄せられる質問にお答えします。 Q1. 委任状はどこで作成すればいいですか? 委任状に決まった書式はありません。   ただし、不動産取引で使う委任状には、以下の内容を必ず記載しましょう。 委任する人(売主)の氏名・住所 代理人の氏名・住所 委任する権限の内容(具体的に) 作成日 売主の署名・実印の押印   司法書士や不動産会社に依頼すれば、適切な書式を用意してくれます。 自分で作る場合は、インターネットで「不動産売却 委任状 ひな形」と検索すると、参考になる書式が見つかります。 ただし、内容は自分の状況に合わせて必ず修正してください。 Q2. 家族でも委任状は必要ですか? はい、必要です。   たとえ配偶者や親子でも、法律上は別の人格です。 委任状がなければ、代理人として手続きを行うことはできません。 「家族だから大丈夫」と思って委任状なしで手続きを進めると、契約が無効になる可能性があります。(民法に基づく)   必ず委任状を作成し、実印を押して印鑑証明書を添付してください。 家族だからこそ、きちんと手続きを踏むことが大切です。 Q3. 一度作った委任状を取り消すことはできますか? はい、できます。   委任状は、いつでも取り消すことができます。 取り消す場合は、代理人に「委任を取り消す」という意思を明確に書面等で伝え、委任状の原本を返してもらいましょう。   また、不動産会社や司法書士にも、委任を取り消したことを連絡してください。 ただし、すでに契約が成立した後では、取り消しても契約そのものは有効です。(民法に基づく) 不安があれば、早めに対処することが重要です。       まとめ:委任状は便利だが慎重に。信頼できる相手選びが最重要 不動産売却で委任状を使えば、遠方に住んでいても、忙しくても、代理人に手続きを任せることができます。 しかし、委任状は「あなたの代わりに重要な判断をする権限」を与えるものです。 使い方を間違えると、思わぬトラブルや損失につながる可能性があります。   委任状を使うときは、以下のポイントを必ず守ってください。 権限の範囲を具体的に限定する(白紙委任は絶対に避ける) 最も信頼できる相手を代理人に選ぶ(配偶者、親、専門家など) 実印と印鑑証明書の扱いに細心の注意を払う 進捗状況を定期的に報告してもらう(任せっきりにしない)   当社では、遠方にお住まいの方の不動産売却も、オンライン対応で引渡しまでサポートしています。 委任状の作成についても、経験豊富な担当者が丁寧にアドバイスいたします。   不動産売却で委任状を使うべきか迷っている方、どう進めればいいか不安な方は、ぜひお気軽にご相談ください。 あなたの大切な財産を守りながら、スムーズな売却をお手伝いします。 無料相談は下記からお申し込みいただけます。   ▼無料相談のお申し込みはこちらから   [不動産について相談する]   [無料査定を依頼する]   [LINEで相談する]   不動産のことなら株式会社あこう不動産にお任せください。長崎県大村市を中心に、地域密着で不動産売買のサポートを行っています。
Blog 2025.10.17
相場より低い査定額はなぜ?|不動産売却で失敗しないための「減額理由」
「不動産の査定を依頼したら、思っていたより安い金額を提示された…」   周辺の売却事例を調べてみると、自分の物件より条件が悪そうなのに高く売れている。 なぜうちの査定額だけ低いのだろう? 担当者は「この金額が妥当です」と言うけれど、本当にそうなのか不安になりますよね。   査定額が相場より低くなるのには必ず理由があります。 そして、その理由は査定書にきちんと記載されているはずなのです。 しかし、不動産売却の経験がない方にとって、査定書は専門用語ばかりで読み解くのが難しいもの。 大切なのは「なぜこの金額になったのか」という根拠を正しく理解することです。   この記事では、査定書で確認すべき減額理由のチェックポイントと、売却後のトラブルを避けるために売主が知っておくべきことを、わかりやすく解説します。 なぜ査定額は相場より低くなるのか?減額理由を知る重要性 査定額が周辺相場と比べて低い場合、多くの売主は戸惑いを感じます。 しかし、査定額の算出には明確な根拠があり、それを理解することが安心できる売却への第一歩となります。   不動産会社が提示する査定額は、単なる「このくらいで売れそう」という曖昧な予想ではありません。 過去の取引事例や物件の状態、市場の動向などを総合的に判断した上で算出された価格です。   特に査定額が相場より低い場合、そこには物件固有の減額要因が反映されています。 築年数や立地条件はもちろん、建物の状態や法令上の制限など、さまざまな要素が価格に影響を与えるのです。   査定書に記載された減額理由を正しく理解することで、以下のメリットがあります。 適正な売却価格を判断できる 売却戦略を立てやすくなる 買主との交渉で説明できる根拠を持てる 売却後のトラブルを未然に防げる   逆に、減額理由を理解しないまま売却を進めると、後になって「聞いていた話と違う」というトラブルに発展する可能性があります。       査定書で確認すべき「減額の根拠」3つのチェックポイント 査定書には、査定額を算出した根拠が必ず記載されています。 ここでは、特に注意して確認すべき3つのポイントを解説します。 類似物件の取引事例との比較は適切か 査定の基本となるのが、過去に売却された類似物件の成約事例との比較です。 不動産会社は、あなたの物件と条件が近い物件の成約価格を参考にして査定額を算出します。 このとき、比較対象として選ばれた物件が本当に適切かどうかを確認することが重要です。   確認すべきポイント: 築年数は大きく異なっていないか 建物の状態(リフォーム済み、未改修など)は類似しているか 土地の形状や接道状況は同程度か 駅からの距離や周辺環境は似ているか   例えば、あなたの物件が築30年なのに、比較対象が築10年のリフォーム済み物件だった場合、当然査定額は低くなります。 また、土地の形状や接道状況も価格に大きく影響します。 旗竿地(敷地延長)や間口が狭い土地は、整形地に比べて評価が下がるのが一般的です。   査定書に記載された取引事例を見て、「なぜこの物件が比較対象に選ばれたのか」を担当者に質問してみましょう。 納得できる説明が得られるかどうかが、信頼できる不動産会社かどうかを見極めるポイントにもなります。 取引事例の選定が適切かどうかを確認することで、査定額の妥当性を判断する材料が得られます。 自身で不動産相場を調べる方法はこちら 流通性比率(市場性の調整)の妥当性 査定書に「流通性比率」という項目が記載されている場合があります。 これは、物件の売りやすさ(市場性)を考慮して価格を調整する係数のことです。 どんなに良い物件でも、市場の状況によっては買い手がつきにくいことがあります。   例えば、地域全体で不動産の売却物件が多く出ている場合や、買い手の需要が少ない時期などがあります。 流通性比率は通常、0.8〜1.0程度の範囲で設定されます。 これが低いほど「売りにくい物件」と判断されているということです。   確認すべきポイント: なぜこの比率が設定されたのか 地域の市場動向はどうなっているのか   ただし、この流通性比率の設定には不動産会社の主観が入る余地があります。 「なぜこの比率で減額されたのか」を明確に説明してもらうことが大切です。 曖昧な説明しか得られない場合は、その根拠をしっかり確認しましょう。   流通性比率の設定理由を理解することで、市場環境を踏まえた適正な価格判断ができます。 成約想定期間から見る価格設定の戦略 査定書には、提示された価格で「どのくらいの期間で売却できる見込みか」という想定が含まれています。 例えば、「3ヶ月以内の売却を想定した価格」なのか、「6ヶ月以上かけてじっくり売る価格」なのかで、査定額は変わってきます。   早期売却を目的とした査定の場合: 相場よりやや低めの価格設定 買い手がつきやすい価格帯を狙う 売主の事情(転勤、相続など)を考慮した戦略   時間をかけて高値売却を目指す査定の場合: 相場に近い、または相場より高めの価格設定 購入希望者が現れるまで待つ戦略 価格交渉の余地を残した設定   ここで重要なのが、あなた自身の売却スケジュールです。 「できるだけ早く現金化したい」という事情があるのか、「良い条件で買ってくれる人を待てる」のかによって、適切な価格戦略は変わります。 成約想定期間を確認することで、自分の売却計画に合った価格設定かどうかを判断できます。       売却後のトラブルを避けるためにマイナス要因は必ず伝える 査定額が低くなる理由を理解したら、次に重要なのが「物件のマイナス要因を隠さない」ことです。 ここでは、なぜ正直に伝えるべきなのか、そして具体的にどのような点に注意すべきかを解説します。 契約不適合責任とは?隠すと発生する法的リスク 不動産売却において、売主が最も注意すべきなのが契約不適合責任です。 これは、売却した不動産が「契約の内容に適合していない」場合、売主が買主に対して負う責任のことです(民法に基づく)。 契約不適合責任とは?詳細はこちら   具体的には以下のような場合が該当します。 契約時に説明していなかった重大な不具合が後から発覚した 告知すべき事項を隠していた 物件の状態について虚偽の説明をしていた   契約不適合があると判明した場合、買主は売主に対して以下の請求ができます。 追完請求(修補や代替物の引渡し) 代金減額請求 損害賠償請求 契約解除   特に雨漏りやシロアリ被害、給排水管の不具合などの重大な欠陥を隠していた場合、引渡し後に発覚すると高額な修補費用や損害賠償を請求される可能性があります。 「査定額が下がるから黙っていよう」という判断は、後々大きなトラブルを招くのです。   物件の不具合を正直に伝えることは、売主自身を守るための重要な行動と言えます。 減額要因となる主な瑕疵の種類と具体例 では、具体的にどのようなマイナス要因を伝えるべきなのでしょうか。 ここでは、減額要因となる主な瑕疵(かし)の種類を見ていきましょう。   建物の物理的な問題 雨漏りの発生または過去の履歴 シロアリ被害の有無 給排水管の重大な不具合(水漏れ、詰まりなど) 床や壁の傾き 基礎のひび割れ 外壁の剥離や劣化   これらの問題は、修繕が必要な欠陥として査定額に大きく影響します。 特に構造に関わる問題は、買主の安全に直結するため必ず告知が必要です。   土地・立地環境の問題 過去の土壌汚染の履歴 地盤の軟弱性 隣地との境界が未確定 周辺の嫌悪施設(騒音源、墓地、工場など) 過去の浸水被害 隣人とのトラブル履歴   土地や周辺環境に関する問題も重要です。 土壌汚染や地盤の問題については、過去に工場や事業所があった履歴がある場合や、以前に調査を行った経緯がある場合は、その情報を伝えることが重要です。 これらは売買契約後に詳細な調査を行うことも多く、事前に完全に把握することは難しい場合もありますが、知り得る範囲での情報共有が求められます。 また、心理的な問題(事故物件など)も告知義務の対象となります。   法令上の問題 再建築不可の土地 建ぺい率・容積率オーバー 違法建築の疑い 市街化調整区域内の建物 接道義務を満たしていない   法律や条例による制限も重要な確認事項です。 特に再建築不可の土地は、建物を取り壊すと新たに建てられないため、大幅な減額要因となります。 土地が売れない理由、価格以外の要因について また、建築時に違法性があった場合、住宅ローンが組めない可能性もあり、買主にとって大きな問題となります(建築基準法に基づく)。   これらの法令上の制限を隠すと、売却自体が無効になるリスクさえあるのです。 マイナス要因を正直に伝えることで、適正な価格での売却と、売却後のトラブル回避が可能になります。 査定前に売主自身ができる事前対策 マイナス要因を正直に伝えることが重要だとわかりましたが、だからといって何もせずに査定を受ける必要はありません。 売主自身ができる事前対策を行うことで、査定時の印象を良くし、不必要な減点を避けることができます。   1.清掃と整理整頓 水回り(キッチン、浴室、トイレ)を念入りに清掃する 玄関周りを整理整頓する 窓ガラスを磨いて明るい印象にする 庭や外構の雑草を除去する   査定額に直接影響するわけではありませんが、第一印象が良ければ、査定担当者も前向きに評価してくれる可能性があります。   2.記録の整理 修繕履歴やリフォーム記録 設備の取扱説明書や保証書 建築確認済証や検査済証 新築時の図面   次に、物件に関する記録を整理しておきましょう。 これらの書類が揃っていると、物件の管理状態が良いという印象を与えられます。 また、査定がスムーズに進むというメリットもあります。   3.ホームインスペクションの活用 もし物件の状態に不安がある場合は、ホームインスペクション(建物診断)の実施を検討しましょう。 ホームインスペクションとは、専門家が建物の劣化状況や欠陥の有無を診断するサービスです。 インスペクションとは?費用とメリット   費用は5万円〜10万円程度かかりますが、以下のメリットがあります。 物件の正確な状態を把握できる 買主に対して透明性のある情報提供ができる 売却後のトラブルを予防できる 診断結果が売却時の安心材料になる   特に築年数が古い物件や、長期間空き家だった物件の場合、事前診断は有効な手段です。       よくある質問 査定額が低い場合、別の価格で売り出すことはできますか? A.はい、可能です。   査定額はあくまで「このくらいで売れる見込み」という目安であり、実際の売出価格は売主が決定します。 ただし、査定額より高く設定すれば売却までの期間が長くなる可能性があり、逆に低く設定すれば早期売却が期待できます。   重要なのは、査定額の根拠を理解した上で、ご自身の売却スケジュールに合った価格戦略を立てることです。 売却が長引く原因と値下げのタイミングについて   当社では、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ担当者が、お客様の資金計画も含めて最適な価格設定をアドバイスさせていただきます。 瑕疵を伝えると査定額が下がりますが、正直に言うべきですか? A.はい、必ず正直に伝えるべきです。   確かに瑕疵を伝えると査定額は下がるかもしれません。 しかし、隠したまま売却すると、引渡し後に発覚した際に契約不適合責任を問われ、修補費用や損害賠償を請求される可能性があります。 その金額は、査定額の減額分を大きく上回ることがほとんどです。   また、正直に伝えることで、その瑕疵を理解した上で購入してくれる買主を探すことができ、売却後のトラブルを避けられます。 短期的な利益よりも、長期的な安心を優先することをお勧めします。 ホームインスペクションは必ず受けるべきですか? ホームインスペクションは法律上の義務ではありませんが、以下のような場合は実施を検討する価値があります。   実施を検討すべきケース: 築20年以上の物件 長期間空き家だった物件 過去に雨漏りやシロアリ被害があった物件 建物の状態に不安がある場合   診断費用は5万円〜10万円程度かかりますが、売却後のトラブル予防という意味では十分に価値のある投資です。 また、診断結果を買主に提示することで、物件に対する信頼性が高まり、スムーズな取引につながるケースもあります。 当社では、相続不動産の売却にも豊富な経験がございますので、物件の状態に応じて適切なアドバイスをさせていただきます。       まとめ—査定書の理解が、安心できる不動産売却の第一歩 ここまで、不動産査定書で確認すべき減額理由と、売却後のトラブルを避けるための重要なポイントを解説してきました。 この記事の重要なポイントをまとめます。   査定額が低い理由を理解する 査定額には必ず根拠がある 取引事例との比較が適切かを確認する 流通性比率の設定理由を質問する 成約想定期間が自分の計画と合っているか確認する   マイナス要因は必ず正直に伝える 契約不適合責任のリスクを理解する 建物の物理的問題、土地環境、法令上の制限を告知する 隠すことで後々大きなトラブルになる可能性がある 査定書に不具合が記録されているか確認する   売主自身ができる準備 査定前の清掃と整理整頓 修繕記録など書類の準備 必要に応じてホームインスペクションを実施 査定担当者への質問を準備しておく   不動産の売却は、多くの方にとって人生で数回しか経験しない大きな取引です。 だからこそ、査定書の内容を正しく理解し、納得した上で売却を進めることが大切です。 査定額の根拠を理解し、物件の状態を正直に伝えることが、安心できる不動産売却の第一歩となります。   株式会社あこう不動産では宅地建物取引士とファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ担当者が、査定書の見方から売却戦略まで、お客様の立場に立ってわかりやすくご説明いたします。 まずはお気軽にご相談ください。無料相談は下記からお申し込みいただけます。   ▼無料相談のお申し込みはこちらから   [不動産について相談する]   [無料査定を依頼する]   [LINEで相談する]   不動産のことなら株式会社あこう不動産にお任せください。長崎県大村市を中心に、地域密着で不動産売買のサポートを行っています。
Blog 2025.10.11
不動産売却のタイミングで税金が倍変わる?|5年の壁
先日、お客様から「不動産を売却したら、思ったより税金が高くてびっくりした」という相談を受けました。 実は、不動産の売却益にかかる税金は、所有期間によって税率が大きく変わります。 その差はなんと約2倍。   知らないと数百万円も損をする可能性があるんです。 今回は、不動産売却で失敗しないために絶対に知っておきたい「5年の壁」について、わかりやすく解説していきます。 不動産売却で「税金が倍になる」ケースがあるって本当? 不動産を売却して利益が出ると、譲渡所得税という税金がかかります。 この税金、所有期間によって税率が大きく異なるんです。   所有期間が5年以下の場合は約40%、5年を超える場合は約20%。 (国税庁情報)   つまり、売却のタイミングを少し調整するだけで、税金が半分近くになる可能性があるということです。 例えば、売却益が1,000万円出た場合を考えてみましょう。 所有期間が5年以下なら税金は約400万円ですが、5年を超えていれば約200万円で済みます。 不動産売却を検討している方にとって、この知識は必須と言えます。       所有期間5年が分かれ目|短期譲渡と長期譲渡の基本を理解しよう 不動産の譲渡所得税は、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2つに分類されます。 それぞれの違いと税率について、詳しく見ていきましょう。 短期譲渡所得とは?税率は約40% 短期譲渡所得とは、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の不動産を売却した場合の所得を指します。(所得税法)   税率は以下の通りです。 所得税:30% 住民税:9% 復興特別所得税:0.63% 合計:39.63% (国税庁情報より)   この税率、正直かなり高いですよね。 なぜこんなに高いのかというと、不動産の短期売買による投機的な取引を抑制する目的があるからです。 短期間で不動産を転売して利益を得る行為を防ぐため、あえて高い税率が設定されているんです。 長期譲渡所得とは?税率は約20% 一方、長期譲渡所得とは、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える不動産を売却した場合の所得を指します。   税率は以下の通りです。 所得税:15% 住民税:5% 復興特別所得税:0.315% 合計:20.315% (国税庁情報より)   短期譲渡所得と比べると、税率が約半分になります。 長期保有を促進し、安定した不動産市場を維持するための制度設計です。 なぜこんなに税率が違うのか この税率の差には、明確な政策的意図があります。 不動産は本来、長期的に保有して活用するものという考え方が根底にあるんです。 短期間で売買を繰り返す投機的な取引は、不動産価格の乱高下を招き、市場を不安定にします。   そのため、短期売買には高い税率を設定し、長期保有には優遇税率を適用することで、健全な不動産市場の形成を図っているのです。 売主にとっては、この仕組みを理解して売却計画を立てることが、大きな節税につながります。       【重要】所有期間の数え方を間違えると大損する ここからが最も重要なポイントです。 所有期間の計算方法を間違えると、想定していた税率と違う結果になってしまいます。 特に注意すべき点を詳しく解説します。 起算日は「取得した日」から 所有期間の計算は、不動産を取得した日からスタートします。 この「取得した日」とは、代金を支払って引き渡しを受けた日のことです。 契約を結んだ日ではなく、実際に物件の引き渡しを受けた日が起点になります。   例えば、2020年3月に売買契約を結び、2020年4月1日に引き渡しを受けた場合、起算日は2020年4月1日になります。 この点を勘違いしている方が意外と多いので、注意が必要です。 判定日は「売却した年の1月1日」がポイント ここが最大の落とし穴です。 短期譲渡か長期譲渡かを判定するのは、売却した年の1月1日時点なんです。 売却日(引き渡し日)ではありません。 これを知らないと、大きな誤算が生じます。   例えば、2020年4月1日に取得した不動産を2025年4月20日に売却する場合を考えてみましょう。 取得から売却までは5年経過していますが、判定は2025年1月1日時点で行われます。 2025年1月1日時点では、2020年4月から4年9ヶ月しか経っていないため、短期譲渡として扱われます。   つまり、約40%の税率が適用されてしまう可能性があります。 1月1日基準で5年を超えるためには、2026年1月1日以降に売却する必要があります。 具体例で理解する所有期間の計算方法 実際の例で考えてみましょう。 ケース1:2019年10月1日に取得した不動産を売却する場合 2024年10月1日に売却:2024年1月1日時点で4年3ヶ月 → 短期譲渡(約40%) 2025年10月1日に売却:2025年1月1日時点で5年3ヶ月 → 長期譲渡(約20%)   わずか1年の違いで、税率が大きく変わることがわかります。   ケース2:2020年1月1日に取得した不動産を売却する場合 2025年1月1日に売却:2025年1月1日時点でちょうど5年 → 短期譲渡(約40%) 2026年1月1日に売却:2026年1月1日時点で6年 → 長期譲渡(約20%)   所有期間が5年ちょうどの場合は、5年「以下」として扱われるため、短期譲渡になります。 5年「超」でなければ長期譲渡にならない点に注意が必要です。 このように、1月1日を基準に判定されることを理解しておけば、最適な売却時期を見極めることができます。       相続した不動産の所有期間はどう数える? 相続で取得した不動産の場合、所有期間の計算方法が通常とは異なります。 この点を知っておくと、相続不動産の売却計画が立てやすくなります。 【相続不動産売却の税金の特例】 被相続人の取得日から引き継げる 相続によって取得した不動産の所有期間は、亡くなった方(被相続人)が取得した日から計算されます。 相続した日からではありません。   例えば、父が2010年に購入した不動産を2023年に相続し、2024年に売却する場合を考えてみましょう。 相続したのは2023年ですが、所有期間の起算日は父が取得した2010年になります。 したがって、2024年1月1日時点で14年が経過しているため、長期譲渡として扱われます。   この制度のおかげで、相続直後に売却する必要がある場合でも、長期譲渡の優遇税率を受けられるケースが多いのです。 相続不動産なら長期譲渡になりやすい理由 相続不動産の多くは、被相続人が長年住んでいた自宅や、代々受け継がれてきた土地です。 そのため、取得から相続までに既に長い年月が経過していることが一般的です。 相続発生時点で既に5年を超えているケースがほとんどなので、相続後すぐに売却しても長期譲渡の税率が適用されます。   ただし、被相続人が取得してから5年以内に相続が発生し、すぐに売却する場合は、短期譲渡になる可能性もあります。 相続不動産を売却する際は、まず被相続人がいつその不動産を取得したのかを確認することが大切です。       さらにお得!10年超所有でマイホーム売却時の軽減税率が使える マイホームを売却する場合には、さらに有利な特例があります。 10年を超えて所有していた場合に適用できる制度について見ていきましょう。 10年超所有軽減税率の特例とは マイホーム(居住用財産)を売却する場合、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えているときは、さらに低い税率が適用されます。   通常の長期譲渡所得の税率は約20%ですが、この特例を使うことで、さらに税負担を軽減できるのです。 ただし、あくまでも居住用の不動産が対象で、投資用マンションや賃貸物件には適用されません。 6,000万円までは約14%の税率に軽減 この特例を利用すると、譲渡所得のうち6,000万円までの部分について、以下の軽減税率が適用されます。 所得税:10% 住民税:4% 復興特別所得税:0.21% 合計:14.21%   6,000万円を超える部分については、通常の長期譲渡所得と同じ約20%の税率になります。 例えば、売却益が1,000万円の場合、全額が約14%の税率で計算されるため、税額は約140万円です。 もし通常の長期譲渡所得(20%)で計算すると約200万円になるので、約60万円も節税できることになります。 特例を受けるための要件 この特例を受けるには、いくつかの要件があります。(租税特別措置法)   主な要件は以下の通りです。 自分が住んでいた家を売却すること 売却した年の1月1日時点で、所有期間が10年を超えていること 売却した年の前年・前々年にこの特例を受けていないこと 親子や夫婦など特別な関係がある人への売却でないこと   また、3,000万円特別控除との併用も可能です。 3,000万円特別控除を適用した後の譲渡所得に対して、この軽減税率が使えるため、さらに大きな節税効果が期待できます。 【譲渡所得税3000万円特別控除】       よくある質問 Q1. リフォームや増築をした場合、取得日は変わる? A.いいえ、リフォームや増築をしても取得日は変わりません。   あくまでも当初その不動産を取得した日が基準になります。 ただし、建物を取り壊して新築した場合は、新しい建物の完成日が取得日になります。 Q2. 不動産を売却しても利益が出ない場合、短期・長期は関係ない? A.はい、売却しても利益(譲渡所得)が出ない場合は、短期譲渡か長期譲渡かを気にする必要はありません。 【概算取得費について】   譲渡所得税は、あくまでも「利益が出た場合」にかかる税金です。 購入価格や諸経費を差し引いた結果、利益がゼロまたはマイナス(譲渡損失)になる場合は、そもそも課税されません。   したがって、所有期間が5年以下でも5年超でも、税金面での違いは生じないのです。 売却前に利益が出るかどうかを計算し、まずは査定を受けることをお勧めします。 【不動産査定の種類】       まとめ|売却タイミングの見極めが節税の第一歩 不動産売却における税金は、所有期間によって大きく変わります。   今回お伝えした重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。 所有期間5年以下は約40%、5年超は約20%の税率が適用される 判定基準は「売却した年の1月1日時点」での所有期間 取得日から5年「超」でなければ長期譲渡にならない 相続不動産は被相続人の取得日から所有期間を引き継げる マイホームは10年超所有で約14%の軽減税率が使える 引き渡し時期の調整で税率を有利にできる場合がある   売却を急ぐ理由がなければ、1月1日を基準に所有期間を計算し、長期譲渡の税率が適用されるタイミングまで待つことをお勧めします。 数ヶ月待つだけで数百万円の節税になることも珍しくありません。   株式会社あこう不動産では、長崎県大村市を中心に、不動産売却のお手伝いをしています。 「自分の不動産はいつ売るのがベストなのか」 そんな疑問をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。   オンラインでのご相談にも対応しています。 まずはお気軽にご相談ください。無料相談は下記からお申し込みいただけます。   ▼無料相談のお申し込みはこちらから   [不動産について相談する]   [無料査定を依頼する]   [LINEで相談する]   不動産のことなら株式会社あこう不動産にお任せください。長崎県大村市を中心に、地域密着で不動産売買のサポートを行っています。
Blog 2025.09.26
ローン返済中の不動産売却|アンダーローンとオーバーローン
住宅ローンがまだ残っているけど、家を売らないといけない状況になった」 転勤、離婚、住み替え、相続など、人生にはさまざまな転機があります。 そんなとき、多くの方が抱く疑問が「ローンが残っていても家は売れるの?」ということではないでしょうか。   住宅ローンが残っていても不動産を売ることは十分に可能です。 ただし、通常の取引とは異なる特殊な手続きが必要になります。 この記事では、ローン返済中の不動産売却について、知っておくべき重要なポイントを分かりやすく解説していきます。 住宅ローン返済中でも不動産売却は可能な理由 住宅ローンが残っている不動産でも売却することができます。 住宅ローン契約書には「金融機関の承諾なく担保不動産を譲渡・賃貸してはならない」という条項があります。 これは、ローンを完済するまで自由に不動産を売買や賃貸ができないという取り決めです。   しかし、売買代金を使って住宅ローンを一括返済し、同時に抵当権を抹消するという手続きを経て、売却と同時にローンを完済できれば、法的な問題なく不動産を売ることができます。       売却に必要な「同時決済」とは?手続きの流れ ローン返済中の不動産売却では「同時決済」という特別な手続きが行われます。 同時決済とは、不動産の売買代金の受け渡しと同時に住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する一連の手続きのことです。   同時決済の具体的な流れ: 売買契約の成立 買主との間で売買契約を締結します 決済日の調整 売主、買主、金融機関、司法書士の都合を合わせて決済日を決定します 売買代金の受け渡し 買主から売主へ売買代金が支払われます ローンの一括返済 受け取った売買代金で住宅ローンを完済します 抵当権の抹消 司法書士が抵当権抹消登記を行います 所有権の移転 買主への所有権移転登記が完了します   この一連の手続きは、司法書士の立ち会いのもとで同日に行われるため、法的な安全性が確保されています。       アンダーローンとオーバーローン ローン返済中の不動産売却では、売却価格とローン残債の関係によって大きく2つのパターンに分かれます。 アンダーローン(売却益が残るケース) アンダーローンとは、売却価格がローン残債を上回る状態のことです。   アンダーローンのメリット: 売却代金でローンを完済でき、手元に資金が残る 売却手続きが比較的スムーズに進む 次の住居購入資金として活用できる   アンダーローンの場合、売却益に対して譲渡所得税が課税される可能性があります。 ただし、居住用不動産には3,000万円の特別控除が適用されるケースが多いため、実際に税金がかかることは少ないのが現状です。(国税庁) 【譲渡所得税3000万円特別控除】 オーバーローン(自己資金が必要なケース) オーバーローンとは、不動産の売却価格が、現在残っている住宅ローンの残債額を下回ってしまう状態のことです。 特に、購入から日が浅い物件や、頭金をほとんど入れなかった物件で発生しやすい傾向があります。   オーバーローンがもたらす課題とリスク: 売却代金だけではローンを完済できない: 売却が成立しても、手元に入ったお金だけでは銀行への返済が足りません。   不足分は自己資金で補填が必要: ローンを完済し、抵当権を抹消しなければ買主に引き渡せないため、不足分は売主様ご自身で現金を用意する必要があります。   売却自体が不可能になるリスク: 自己資金を用意できない場合、ローンを完済できず、結果として売却自体を諦めざるを得ない状況に陥ってしまいます。   オーバーローンの場合は、売却活動を始める前に、「いくらの売却価格ならローンを完済できるか」を正確に把握し、不足の自己資金をどう工面するかという事前の資金計画と戦略的な売却活動が非常に重要になります。       売却前に必ず確認すべき3つのポイント ローン返済中の不動産売却を成功させるためには、事前の準備が必要です。 現在のローン残高を正確に把握する まず最初に行うべきは、現在の住宅ローン残高の正確な確認です。   確認方法: 金融機関から送られる残高証明書をチェック インターネットバンキングで残高照会 金融機関へ直接確認   毎月の返済額と残高は異なります。 元金と利息の内訳を含めて、正確な残債額を把握することが必須です。 不動産の適正価格を知るための査定のコツ 売却価格の目安を知るために、不動産の査定を受けることが重要です。 【不動産査定の種類】   査定を受ける際のポイント: 地域に詳しい不動産会社を選ぶ 査定根拠を明確に説明してもらう 売却にかかる諸費用を事前に教えてもらう 市場動向についても相談する 売却開始まで期間がある場合、価格変動も考慮する   査定額とローン残債+諸費用を比較することで、アンダーローンかオーバーローンかが判明します。 信頼できる不動産会社の選び方 ローン返済中の不動産売却では、専門知識を持った信頼できる不動産会社選びが成功の鍵となります。   選ぶべき不動産会社の特徴: 売値を決める前に諸費用の見積もりを提示してくれる 司法書士や金融機関との連携ができる 地域の市場動向に精通している 担当者が宅地建物取引士の資格を持っている   複雑な手続きを円滑に進めるためには、経験豊富な専門家のサポートが不可欠です。       よくある質問|住宅ローン残債がある不動産売却のQ&A Q1. 売却にかかる期間はどのくらいですか? A. 一般的に3~6か月程度です。 適正価格の販売で、査定から売買契約まで2~3か月、契約から決済まで1~3か月が目安となります。 Q2. 売却時にかかる費用はどのようなものがありますか? A. 主な費用は以下の通りです。 仲介手数料 司法書士報酬 境界確認費用 ローン一括返済手数料 印紙税 譲渡所得税(利益が出た場合) Q3. 離婚時の不動産売却で注意すべきことはありますか? A. 共有名義の場合は両者の合意が必要です。(民法) また、財産分与の取り決めを事前に明確にしておくことが重要です。 【共有不動産、持分売却について】       まとめ|専門家への相談で安心・確実な売却を実現 住宅ローンが残っている不動産の売却は、決して不可能ではありません。   重要なポイントをまとめると以下の通りです: 売却代金でローンを完済する「同時決済」により売却可能 アンダーローンとオーバーローンで対応方法が大きく異なる 事前のローン残高確認と適正価格査定が成功の鍵 専門知識を持った信頼できる不動産会社選びが重要   特に、オーバーローンの場合は自己資金の準備が必要になるため、早めの相談と計画的な進行が求められます。 住宅ローン関連の売却実績が豊富で、地域に精通した不動産会社に相談することで、安心して売却を進めることができます。   不安な点や疑問がある場合は、まず専門家に相談されることをおすすめします。 適切なアドバイスを受けることで、スムーズで確実な売却が実現できるでしょう。 まずはお気軽にご相談ください。無料相談は下記からお申し込みいただけます。   ▼無料相談のお申し込みはこちらから   [不動産について相談する]   [無料査定を依頼する]   [LINEで相談する]   不動産のことなら株式会社あこう不動産にお任せください。長崎県大村市を中心に、地域密着で不動産売買のサポートを行っています。

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