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相場より低い査定額はなぜ?|不動産売却で失敗しないための「減額理由」

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「不動産の査定を依頼したら、思っていたより安い金額を提示された…」
周辺の売却事例を調べてみると、自分の物件より条件が悪そうなのに高く売れている。
なぜうちの査定額だけ低いのだろう? 担当者は「この金額が妥当です」と言うけれど、本当にそうなのか不安になりますよね。
査定額が相場より低くなるのには必ず理由があります。
そして、その理由は査定書にきちんと記載されているはずなのです。
しかし、不動産売却の経験がない方にとって、査定書は専門用語ばかりで読み解くのが難しいもの。
大切なのは「なぜこの金額になったのか」という根拠を正しく理解することです。
この記事では、査定書で確認すべき減額理由のチェックポイントと、売却後のトラブルを避けるために売主が知っておくべきことを、わかりやすく解説します。
目次
なぜ査定額は相場より低くなるのか?減額理由を知る重要性
査定額が周辺相場と比べて低い場合、多くの売主は戸惑いを感じます。
しかし、査定額の算出には明確な根拠があり、それを理解することが安心できる売却への第一歩となります。
不動産会社が提示する査定額は、単なる「このくらいで売れそう」という曖昧な予想ではありません。
過去の取引事例や物件の状態、市場の動向などを総合的に判断した上で算出された価格です。
特に査定額が相場より低い場合、そこには物件固有の減額要因が反映されています。
築年数や立地条件はもちろん、建物の状態や法令上の制限など、さまざまな要素が価格に影響を与えるのです。
査定書に記載された減額理由を正しく理解することで、以下のメリットがあります。
- 適正な売却価格を判断できる
- 売却戦略を立てやすくなる
- 買主との交渉で説明できる根拠を持てる
- 売却後のトラブルを未然に防げる
逆に、減額理由を理解しないまま売却を進めると、後になって「聞いていた話と違う」というトラブルに発展する可能性があります。
査定書で確認すべき「減額の根拠」3つのチェックポイント
査定書には、査定額を算出した根拠が必ず記載されています。
ここでは、特に注意して確認すべき3つのポイントを解説します。
類似物件の取引事例との比較は適切か
査定の基本となるのが、過去に売却された類似物件の成約事例との比較です。
不動産会社は、あなたの物件と条件が近い物件の成約価格を参考にして査定額を算出します。 このとき、比較対象として選ばれた物件が本当に適切かどうかを確認することが重要です。
確認すべきポイント:
- 築年数は大きく異なっていないか
- 建物の状態(リフォーム済み、未改修など)は類似しているか
- 土地の形状や接道状況は同程度か
- 駅からの距離や周辺環境は似ているか
例えば、あなたの物件が築30年なのに、比較対象が築10年のリフォーム済み物件だった場合、当然査定額は低くなります。
また、土地の形状や接道状況も価格に大きく影響します。
旗竿地(敷地延長)や間口が狭い土地は、整形地に比べて評価が下がるのが一般的です。
査定書に記載された取引事例を見て、「なぜこの物件が比較対象に選ばれたのか」を担当者に質問してみましょう。
納得できる説明が得られるかどうかが、信頼できる不動産会社かどうかを見極めるポイントにもなります。
取引事例の選定が適切かどうかを確認することで、査定額の妥当性を判断する材料が得られます。
流通性比率(市場性の調整)の妥当性
査定書に「流通性比率」という項目が記載されている場合があります。
これは、物件の売りやすさ(市場性)を考慮して価格を調整する係数のことです。
どんなに良い物件でも、市場の状況によっては買い手がつきにくいことがあります。
例えば、地域全体で不動産の売却物件が多く出ている場合や、買い手の需要が少ない時期などがあります。
流通性比率は通常、0.8〜1.0程度の範囲で設定されます。 これが低いほど「売りにくい物件」と判断されているということです。
確認すべきポイント:
- なぜこの比率が設定されたのか
- 地域の市場動向はどうなっているのか
ただし、この流通性比率の設定には不動産会社の主観が入る余地があります。
「なぜこの比率で減額されたのか」を明確に説明してもらうことが大切です。
曖昧な説明しか得られない場合は、その根拠をしっかり確認しましょう。
流通性比率の設定理由を理解することで、市場環境を踏まえた適正な価格判断ができます。
成約想定期間から見る価格設定の戦略
査定書には、提示された価格で「どのくらいの期間で売却できる見込みか」という想定が含まれています。
例えば、「3ヶ月以内の売却を想定した価格」なのか、「6ヶ月以上かけてじっくり売る価格」なのかで、査定額は変わってきます。
早期売却を目的とした査定の場合:
- 相場よりやや低めの価格設定
- 買い手がつきやすい価格帯を狙う
- 売主の事情(転勤、相続など)を考慮した戦略
時間をかけて高値売却を目指す査定の場合:
- 相場に近い、または相場より高めの価格設定
- 購入希望者が現れるまで待つ戦略
- 価格交渉の余地を残した設定
ここで重要なのが、あなた自身の売却スケジュールです。
「できるだけ早く現金化したい」という事情があるのか、「良い条件で買ってくれる人を待てる」のかによって、適切な価格戦略は変わります。
成約想定期間を確認することで、自分の売却計画に合った価格設定かどうかを判断できます。
売却後のトラブルを避けるためにマイナス要因は必ず伝える
査定額が低くなる理由を理解したら、次に重要なのが「物件のマイナス要因を隠さない」ことです。
ここでは、なぜ正直に伝えるべきなのか、そして具体的にどのような点に注意すべきかを解説します。
契約不適合責任とは?隠すと発生する法的リスク
不動産売却において、売主が最も注意すべきなのが契約不適合責任です。
これは、売却した不動産が「契約の内容に適合していない」場合、売主が買主に対して負う責任のことです(民法に基づく)。
具体的には以下のような場合が該当します。
- 契約時に説明していなかった重大な不具合が後から発覚した
- 告知すべき事項を隠していた
- 物件の状態について虚偽の説明をしていた
契約不適合があると判明した場合、買主は売主に対して以下の請求ができます。
- 追完請求(修補や代替物の引渡し)
- 代金減額請求
- 損害賠償請求
- 契約解除
特に雨漏りやシロアリ被害、給排水管の不具合などの重大な欠陥を隠していた場合、引渡し後に発覚すると高額な修補費用や損害賠償を請求される可能性があります。
「査定額が下がるから黙っていよう」という判断は、後々大きなトラブルを招くのです。
物件の不具合を正直に伝えることは、売主自身を守るための重要な行動と言えます。
減額要因となる主な瑕疵の種類と具体例
では、具体的にどのようなマイナス要因を伝えるべきなのでしょうか。
ここでは、減額要因となる主な瑕疵(かし)の種類を見ていきましょう。
建物の物理的な問題
- 雨漏りの発生または過去の履歴
- シロアリ被害の有無
- 給排水管の重大な不具合(水漏れ、詰まりなど)
- 床や壁の傾き
- 基礎のひび割れ
- 外壁の剥離や劣化
これらの問題は、修繕が必要な欠陥として査定額に大きく影響します。
特に構造に関わる問題は、買主の安全に直結するため必ず告知が必要です。
土地・立地環境の問題
- 過去の土壌汚染の履歴
- 地盤の軟弱性
- 隣地との境界が未確定
- 周辺の嫌悪施設(騒音源、墓地、工場など)
- 過去の浸水被害
- 隣人とのトラブル履歴
土地や周辺環境に関する問題も重要です。
土壌汚染や地盤の問題については、過去に工場や事業所があった履歴がある場合や、以前に調査を行った経緯がある場合は、その情報を伝えることが重要です。
これらは売買契約後に詳細な調査を行うことも多く、事前に完全に把握することは難しい場合もありますが、知り得る範囲での情報共有が求められます。
また、心理的な問題(事故物件など)も告知義務の対象となります。
法令上の問題
- 再建築不可の土地
- 建ぺい率・容積率オーバー
- 違法建築の疑い
- 市街化調整区域内の建物
- 接道義務を満たしていない
法律や条例による制限も重要な確認事項です。
特に再建築不可の土地は、建物を取り壊すと新たに建てられないため、大幅な減額要因となります。
また、建築時に違法性があった場合、住宅ローンが組めない可能性もあり、買主にとって大きな問題となります(建築基準法に基づく)。
これらの法令上の制限を隠すと、売却自体が無効になるリスクさえあるのです。
マイナス要因を正直に伝えることで、適正な価格での売却と、売却後のトラブル回避が可能になります。
査定前に売主自身ができる事前対策
マイナス要因を正直に伝えることが重要だとわかりましたが、だからといって何もせずに査定を受ける必要はありません。
売主自身ができる事前対策を行うことで、査定時の印象を良くし、不必要な減点を避けることができます。
1.清掃と整理整頓
- 水回り(キッチン、浴室、トイレ)を念入りに清掃する
- 玄関周りを整理整頓する
- 窓ガラスを磨いて明るい印象にする
- 庭や外構の雑草を除去する
査定額に直接影響するわけではありませんが、第一印象が良ければ、査定担当者も前向きに評価してくれる可能性があります。
2.記録の整理
- 修繕履歴やリフォーム記録
- 設備の取扱説明書や保証書
- 建築確認済証や検査済証
- 新築時の図面
次に、物件に関する記録を整理しておきましょう。
これらの書類が揃っていると、物件の管理状態が良いという印象を与えられます。
また、査定がスムーズに進むというメリットもあります。
3.ホームインスペクションの活用
もし物件の状態に不安がある場合は、ホームインスペクション(建物診断)の実施を検討しましょう。
ホームインスペクションとは、専門家が建物の劣化状況や欠陥の有無を診断するサービスです。
費用は5万円〜10万円程度かかりますが、以下のメリットがあります。
- 物件の正確な状態を把握できる
- 買主に対して透明性のある情報提供ができる
- 売却後のトラブルを予防できる
- 診断結果が売却時の安心材料になる
特に築年数が古い物件や、長期間空き家だった物件の場合、事前診断は有効な手段です。
よくある質問
査定額が低い場合、別の価格で売り出すことはできますか?
A.はい、可能です。
査定額はあくまで「このくらいで売れる見込み」という目安であり、実際の売出価格は売主が決定します。
ただし、査定額より高く設定すれば売却までの期間が長くなる可能性があり、逆に低く設定すれば早期売却が期待できます。
重要なのは、査定額の根拠を理解した上で、ご自身の売却スケジュールに合った価格戦略を立てることです。
当社では、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ担当者が、お客様の資金計画も含めて最適な価格設定をアドバイスさせていただきます。
瑕疵を伝えると査定額が下がりますが、正直に言うべきですか?
A.はい、必ず正直に伝えるべきです。
確かに瑕疵を伝えると査定額は下がるかもしれません。
しかし、隠したまま売却すると、引渡し後に発覚した際に契約不適合責任を問われ、修補費用や損害賠償を請求される可能性があります。
その金額は、査定額の減額分を大きく上回ることがほとんどです。
また、正直に伝えることで、その瑕疵を理解した上で購入してくれる買主を探すことができ、売却後のトラブルを避けられます。
短期的な利益よりも、長期的な安心を優先することをお勧めします。
ホームインスペクションは必ず受けるべきですか?
ホームインスペクションは法律上の義務ではありませんが、以下のような場合は実施を検討する価値があります。
実施を検討すべきケース:
- 築20年以上の物件
- 長期間空き家だった物件
- 過去に雨漏りやシロアリ被害があった物件
- 建物の状態に不安がある場合
診断費用は5万円〜10万円程度かかりますが、売却後のトラブル予防という意味では十分に価値のある投資です。
また、診断結果を買主に提示することで、物件に対する信頼性が高まり、スムーズな取引につながるケースもあります。
当社では、相続不動産の売却にも豊富な経験がございますので、物件の状態に応じて適切なアドバイスをさせていただきます。
まとめ—査定書の理解が、安心できる不動産売却の第一歩
ここまで、不動産査定書で確認すべき減額理由と、売却後のトラブルを避けるための重要なポイントを解説してきました。
この記事の重要なポイントをまとめます。
査定額が低い理由を理解する
- 査定額には必ず根拠がある
- 取引事例との比較が適切かを確認する
- 流通性比率の設定理由を質問する
- 成約想定期間が自分の計画と合っているか確認する
マイナス要因は必ず正直に伝える
- 契約不適合責任のリスクを理解する
- 建物の物理的問題、土地環境、法令上の制限を告知する
- 隠すことで後々大きなトラブルになる可能性がある
- 査定書に不具合が記録されているか確認する
売主自身ができる準備
- 査定前の清掃と整理整頓
- 修繕記録など書類の準備
- 必要に応じてホームインスペクションを実施
- 査定担当者への質問を準備しておく
不動産の売却は、多くの方にとって人生で数回しか経験しない大きな取引です。
だからこそ、査定書の内容を正しく理解し、納得した上で売却を進めることが大切です。
査定額の根拠を理解し、物件の状態を正直に伝えることが、安心できる不動産売却の第一歩となります。
株式会社あこう不動産では宅地建物取引士とファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ担当者が、査定書の見方から売却戦略まで、お客様の立場に立ってわかりやすくご説明いたします。
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