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不動産売却の第一歩|媒介契約書のチェックリストと注意点
 
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媒介契約は、不動産売却における最初の正式な契約です。
ここで内容をしっかり確認しておかないと、「思ったように売却活動が進まない」「途中で解約したいのにできない」といったトラブルに巻き込まれる可能性があります。
この記事では、媒介契約書で必ずチェックすべきポイントと、契約前に知っておくべき注意点を解説します。
目次
媒介契約って何?まずは基本を押さえよう
媒介契約とは何か、そして契約の種類によってどんな違いがあるのかを簡単に確認しておきましょう。
媒介契約とは不動産会社との約束事を定める契約
媒介契約とは、不動産の売却を不動産会社に依頼する際に結ぶ正式な契約のことです。
宅地建物取引業法(宅建業法)に基づき、不動産会社は売主と媒介契約を結ぶことが義務付けられています。
この契約書には、売却活動の内容、仲介手数料、契約期間、不動産会社と売主それぞれの義務などが明記されます。
口約束ではなく、きちんと書面で約束事を取り決めることで、後々のトラブルを防ぐ役割を果たしています。
契約には3つの種類がある
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つの種類があります。
それぞれ、依頼できる会社の数、レインズ(不動産流通機構)への登録義務、売主への報告頻度、自分で買主を見つけた場合の取り扱いなどに違いがあります。
どの契約を選ぶかによって、売却活動の進め方や不動産会社の対応が大きく変わってきます。
自分の状況に合った契約タイプを選ぶことが、スムーズな売却への第一歩です。
契約書で絶対に見逃してはいけない7つのチェックポイント
媒介契約書には重要な情報がぎっしり詰まっています。
サインする前に、必ず以下の7つの項目を確認しましょう。
契約期間:3ヶ月のルールを理解する
媒介契約には契約期間が定められています。
専任媒介契約と専属専任媒介契約の場合、宅地建物取引業法により契約期間は最長3ヶ月と決められており、自動更新はできません。
3ヶ月を超えて契約を続けたい場合は、改めて更新の手続きが必要になります。
一方、一般媒介契約には法律上の期間制限はありませんが、実務上は3ヶ月程度が一般的です。
契約期間内に売却できなかった場合、契約を更新するか、別の会社に変更するか、あるいは売却自体を見直すかを判断することになります。
「3ヶ月」という期間は、売却活動の成果を見極める重要な区切りだと考えてください。
売却希望価格:査定額の根拠を必ず確認
契約書には、売主と不動産会社が合意した売却希望価格が記載されます。
ここで注意したいのが、根拠のない高額な査定額です。
「高く売りたい」という売主の心理につけこんで、契約を取るために相場よりも高い査定額を提示する会社も残念ながら存在します。
高すぎる価格設定は、かえって売却期間を長引かせ、最終的には値下げを余儀なくされるケースが多いのです。
査定額の根拠として、近隣の取引事例や物件の状態、立地条件などを具体的に説明してもらい、適正な価格設定になっているかを必ず確認しましょう。
査定額だけで判断せず、その根拠をしっかり理解することが大切です。
仲介手数料:上限額と支払い時期を確認
仲介手数料は、売却が成功したときに不動産会社に支払う報酬です。
宅地建物取引業法により、仲介手数料には上限が定められています。
売却価格が400万円を超える場合、上限額は「売却価格×3%+6万円+消費税」という速算式で計算されます。
契約書には、この上限額と支払い時期が明記されているはずです。
ここで注意したいのが、上限額を超えた報酬や、根拠が不明瞭な広告費用などを請求されていないかという点です。
通常の販売活動にかかる広告費は仲介手数料に含まれていますので、別途請求されることは原則ありません。
特別な広告を依頼した場合のみ、実費を請求されることがありますが、その場合は事前に説明と合意が必要です。
レインズ登録:登録義務と期限を厳しくチェック
レインズとは、不動産会社が物件情報を共有するためのネットワークシステムです。
専任媒介契約の場合は契約締結日から7日以内、専属専任媒介契約の場合は5日以内に、不動産会社はレインズへの登録が義務付けられています(宅地建物取引業法)。
レインズに登録されることで、全国の不動産会社が物件情報を閲覧でき、買主候補の幅が広がります。
契約書には、この登録義務と期限が明記されているか、必ず確認してください。
なぜここまで厳しくチェックする必要があるのでしょうか。
それは、一部の不動産会社が行う「囲い込み」というリスクがあるからです。
囲い込みとは、自社で買主も見つけて両方から手数料をもらうために、意図的にレインズへの登録を遅らせたり、他社からの問い合わせを断ったりする行為です。
レインズ登録の有無と期限、そして登録後の証明書の提出を求めることが、囲い込みを防ぐ有効な対策になります。
解除条件と違約金:途中でやめられるのか
契約期間内に「やっぱり売却をやめたい」「別の会社に変更したい」と思った場合、どうなるのでしょうか。
契約書には、解除に関する条件と違約金の規定が記載されています。
売主の都合で契約を解除する場合、不動産会社がすでに行った販売活動にかかった実費を請求される可能性があります。
ただし、不動産会社が契約違反をした場合は話が別です。
例えば、報告義務を怠った、レインズに登録しなかった、不適切な対応があったなどの場合、売主から違約金なしで解除できることが一般的です。
解除の条件や違約金の規定が、契約書にどのように書かれているかを事前に確認しておきましょう。
売主の義務:契約後に何をしてはいけないのか
媒介契約を結ぶと、売主にも守るべき義務が発生します。
特に専任媒介契約と専属専任媒介契約の場合、他の不動産会社に重ねて依頼することは禁止されています。
また、専属専任媒介契約では、自分で買主を見つけて直接取引することも禁止されています。
これらの義務に違反すると、違約金を請求される可能性がありますので注意が必要です。
一般媒介契約の場合は、複数社への依頼も、自己発見取引も可能です。
自分が選んだ契約タイプによって、何ができて何ができないのかを正確に理解しておくことが重要です。
報告義務:どんな報告をいつ受けられるのか
専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上、不動産会社は売主に対して販売活動の状況を報告する義務があります。(宅地建物取引業法)
一般媒介契約には法律上の報告義務はありませんが、契約書で報告頻度を取り決めることは可能です。
報告義務があるからといって、形式的な報告だけで終わっていないかを確認することが大切です。
内覧の件数、買主候補の反応、広告の実施状況など、具体的な販売活動の内容を報告してもらうよう求めましょう。
定期的に具体的な報告を受けることで、売却活動が順調に進んでいるかを把握できます。
知らないと後悔する!媒介契約の落とし穴
契約書の内容を確認するだけでなく、媒介契約に潜むリスクも知っておく必要があります。
「囲い込み」が売却チャンスを奪う
先ほども少し触れましたが、囲い込みは売却を成功させる上で最大の障害となります。
囲い込みとは、不動産会社が売主と買主の両方から仲介手数料を得るために、他社に物件情報を公開しない行為です。
レインズや各種ポータルサイトに登録していても、他社から問い合わせがあると「すでに申し込みが入っています」と虚偽の説明をして断るケースもあります。
その結果、本来であれば興味を持ってくれたはずの買主候補に情報が届かず、売却の機会を大きく失うことになります。
囲い込みを防ぐためには、レインズへの登録証明書の提出を求めること、定期報告の内容を詳しく確認すること、不審な点があれば質問することが重要です。
専任・専属専任媒介契約で気をつけるべきこと
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、1社だけに売却を任せる契約です。
不動産会社にとっては確実に売主から仲介手数料が得られるため、積極的に販売活動を行ってくれることが期待できます。
しかし、だからこそ報告内容の質が重要になります。
「広告を出しました」「レインズに登録しました」という形式的な報告だけでなく、実際にどれだけの反響があったのか、内覧希望者の反応はどうだったのかなど、具体的な情報を求めるようにしましょう。
また、3~6ヶ月経っても売却できない場合、価格設定や販売方法に問題がある可能性があります。
更新する前に、これまでの活動内容を振り返り、戦略を見直す必要があるかもしれません。
一般媒介契約で気をつけること
一般媒介契約は、複数社に依頼できる自由度の高い契約です。
ただし、この自由度が逆に負担になることもあります
依頼する会社数が多すぎると、各社との連絡や内覧スケジュールの調整が煩雑になり、売主の負担が増えてしまいます。
また、各社に伝える情報が異なってしまうと、買主候補が混乱する原因にもなります。
売却価格や物件情報を統一し、全ての会社に同じ条件を伝えることが大切です。
一般媒介契約を選ぶ場合は、依頼する会社数を2〜3社程度に絞り、情報管理を徹底することをおすすめします。
契約前にやっておくべき3つの準備
媒介契約で失敗しないためには、契約を結ぶ前の準備が何より重要です。
査定の根拠をしっかり聞く
不動産会社から査定額を提示されたら、必ずその根拠を詳しく聞いてください。
近隣の成約事例、物件の状態、立地条件、市場動向など、具体的なデータに基づいて説明してもらいましょう。
査定額が他社と大きく異なる場合は、特に注意が必要です。
高すぎる査定も、低すぎる査定も、それぞれ理由があるはずですので、しっかり確認しましょう。
担当者の対応や説明の丁寧さを見極める
不動産売却は、数ヶ月にわたって不動産会社と二人三脚で進めていく作業です。
だからこそ、担当者との相性や信頼関係が非常に重要になります。
初回の面談で、以下のような点をチェックしてみてください。
- 質問に対して丁寧に答えてくれるか。
- 専門用語を使わず、わかりやすく説明してくれるか。
- メリットだけでなく、デメリットやリスクも正直に伝えてくれるか。
- 売却のスケジュールや戦略を具体的に提案してくれるか。
これらの対応から、その担当者が信頼できるかどうかを判断しましょう。
契約書の内容を事前に確認する時間をもらう
媒介契約書は、その場でサインを求められることが多いですが、焦らずに内容を確認する時間を取ることをおすすめします。
「今日中に契約しないと、この査定額は保証できません」といった急かす態度の会社には注意が必要です。
契約書を事前にもらって、自宅でゆっくり読んでから判断しても何も問題ありません。
わからない点があれば、遠慮せずに質問してください。
きちんと説明してくれる会社であれば、安心して任せられます。
よくある質問
媒介契約について、お客様からよくいただく質問にお答えします。
Q1. 媒介契約を途中で解約できますか?
A.はい、解約は可能です。
ただし、売主の都合での解約の場合、不動産会社がすでに行った販売活動にかかった実費を請求される可能性があります。
一方、不動産会社が報告義務を怠った、レインズに登録しなかったなどの契約違反があった場合は、売主から違約金なしで解約できます。
Q2. レインズに登録されているか確認する方法は?
A.専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んだ場合、不動産会社はレインズへの登録後、登録証明書を売主に交付する義務があります。(宅地建物取引業法)
この証明書には、登録番号や登録日が記載されています。
証明書を受け取ったら、その内容を確認しましょう。
もし期限を過ぎても証明書が提示されない場合は、不動産会社に確認してみてください。
Q3. 契約期間内に売れなかった場合はどうなりますか?
A.契約期間内に売却できなかった場合、いくつかの選択肢があります。
同じ会社と契約を更新する、別の会社に変更する、価格や条件を見直す、一旦売却を保留するなどです。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は自動更新されませんので、更新する場合は改めて手続きが必要です。
3ヶ月という期間は、販売戦略を見直す良い機会でもありますので、これまでの活動内容を振り返り、今後の方針を担当者とよく話し合いましょう。
まとめ:媒介契約は慎重に、でも恐れずに
不動産売却の第一歩である媒介契約は、確かに重要な契約です。
でも、ポイントさえ押さえておけば、決して難しいものではありません。
契約期間、売却価格、仲介手数料、レインズ登録、解除条件、売主の義務、報告義務という7つのチェックポイントを確認すること。
囲い込みなどのリスクを知り、それを防ぐための対策を取ること。
そして何より、査定の根拠をしっかり確認し、信頼できる担当者を選ぶこと。
これらを実践すれば、安心して媒介契約を結ぶことができます。
私たちあこう不動産では、初めて不動産を売却される方にも、わかりやすく丁寧に説明することを心がけています。
宅地建物取引士とファイナンシャルプランナーの資格を持つスタッフが、責任を持って最後までサポートいたします。
媒介契約の内容で不安な点があれば、契約前でも契約後でも、お気軽にご相談ください。
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