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不動産売却後の税金はいつ払う?納税タイミングのズレで困らないために

2025.12.06
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不動産を売却したとき、見落としがちなのが「税金の支払いタイミング」です。

「売却代金を受け取ったから、税金もすぐ払うんだろう」と思っていたら、実は翌年に請求が来てびっくり……なんてことも珍しくありません。

 

売却で得たお金を使い切ってしまい、いざ納税の時期になって資金が足りなくなる。

そんな事態を避けるためには、あらかじめ納税スケジュールを把握しておくことが大切です。

今回は、不動産売却にかかる税金の種類と、それぞれの納税タイミングについて解説します。

不動産売却で発生する税金の全体像

不動産を売却すると、複数の税金が段階的に発生します。

不動産売却に関わる税金は、契約時引渡時、そして売却の翌年という3つのタイミングに分かれて支払うことになります。

それぞれの税金には役割があり、納税方法も異なるため、全体の流れを理解しておくことが重要です。

契約時・引渡時・翌年に分かれる納税タイミング

不動産売却で発生する主な税金は以下の4種類です。

  • 印紙税:売買契約書に貼付する収入印紙代
  • 登録免許税:抵当権抹消登記などにかかる税金
  • 譲渡所得税(所得税・復興特別所得税):売却益に対して課される国税
  • 住民税:売却益に対して課される地方税

 

それぞれの税金は、不動産取引のどの段階で支払うかが決まっています。

契約時と引渡時に支払う税金は比較的少額ですが、翌年に支払う譲渡所得税と住民税は金額が大きくなる可能性があるため、注意が必要です。

それぞれの税金の特徴と役割

印紙税と登録免許税は、不動産取引の手続きに関わる税金です。

一方、譲渡所得税と住民税は、売却によって得た利益(譲渡所得)に対して課される税金です。

つまり、売却によって利益が出なければ、譲渡所得税と住民税は発生しません。

 

ただし、利益が出た場合は、その金額に応じて税額が大きくなります。

売却代金を受け取った時点で、翌年の納税に備えて資金を確保しておくことが大切です。

 

 

 

各税金の具体的な納税スケジュール

ここからは、それぞれの税金をいつ、どのように支払うのかを詳しく見ていきましょう。

契約時に支払う印紙税

印紙税は、不動産売買契約書を作成する際に必要な税金です。

契約書に収入印紙を貼付し、消印をすることで納税が完了します。

印紙税の金額は、売買契約書に記載された売買代金の額によって決まります。(印紙税法)

 

たとえば、売買代金が1,000万円超5,000万円以下の場合、本則では2万円ですが、軽減措置が適用されると1万円になります。

契約締結時にその場で支払うため、後回しになることはありません。

印紙税は売買契約の成立と同時に納める税金なので、契約前に必要な金額を不動産会社に確認しておきましょう。

引渡時に支払う登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権移転登記や抵当権抹消登記を行う際に納める税金です。

売却時に住宅ローンが残っている場合、決済時に抵当権を抹消する必要があります。

この抵当権抹消登記の手続きにかかるのが登録免許税です。(登録免許税法)

 

通常、司法書士に登記手続きを依頼するため、司法書士を通じて法務局へ納付されます。

登録免許税の金額は、不動産1つにつき1,000円です。

土地と建物それぞれに抵当権が設定されている場合は、合計2,000円になります。

引渡時の決済で司法書士への報酬とともに支払うことが一般的です。

翌年に支払う譲渡所得税(所得税・復興特別所得税)

譲渡所得税は、不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合に課される税金です。

売却した年の1月1日から12月31日までの所得として計算し、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行います。(所得税法)

譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

 

譲渡所得 = 売却価格 − (取得費 + 譲渡費用)

 

取得費とは、購入時の代金や仲介手数料、リフォーム費用などです。

【概算取得費とは?計算方法と注意点】

譲渡費用とは、売却時の仲介手数料や測量費用などです。

この譲渡所得に対して、所有期間に応じた税率がかけられます。

売却代金を受け取ってから確定申告まで期間が空くため、その間に資金計画をしっかり立てておきましょう。

翌年6月以降に支払う住民税

住民税は、譲渡所得に対して課される地方税です。

確定申告の内容に基づいて税額が決定され、売却の翌年6月以降に自治体から納付書が送られてきます。

住民税の支払いは、通常年4回に分けて行います。(地方税法)

納付時期は、6月、8月、10月、翌年1月です。

 

給与所得者の場合、給与から天引きされる特別徴収を選択することもできます。

住民税は確定申告から数ヶ月後に請求が来るため、忘れた頃に納付書が届いて驚くことがあります。

売却の翌年は住民税の負担が増えることを念頭に置いて、資金を確保しておくことが重要です。

【不動産売却時の固定資産税は誰が払う?日割り精算の計算方法と注意点】

 

 

 

売却後に注意すべき4つの重要ポイント

納税スケジュールを理解した上で、特に気をつけたいポイントを4つご紹介します。

納税資金不足に陥らないための準備

不動産売却で最も注意すべきなのが、納税資金の確保です。

売却代金を受け取るのは引渡時ですが、譲渡所得税と住民税の支払いは約2ヶ月から1年半後になります。

このタイミングのズレが、納税資金不足を引き起こす原因です。

 

売却代金を生活費に充ててしまい、いざ納税時期になって資金が足りなくなるケースは少なくありません。

売却益が出た場合は、税金分を見積もって必ず確保しておくことが大切です。

目安として、譲渡所得の20%〜40%程度を納税資金として別に取り分けておくとよいでしょう。

納税額ゼロでも確定申告が必要なケース

「税金を払わないなら確定申告は不要」と思われがちですが、実はそうではありません。

 

確定申告が必要なのは、以下のケースです。

  • 売却益(譲渡所得)が出て、納税が必要な場合
  • 居住用財産の3,000万円特別控除など、特例や控除を利用する場合
  • 譲渡損失(売却損)が出た場合に、他の所得と相殺する損益通算の特例を利用する場合

 

特に、3,000万円特別控除を適用して納税額がゼロになる場合でも、確定申告は必須です。(租税特別措置法)

確定申告をしなければ、特例の適用を受けることができません。

逆に、売却損が出て、かつ特例も利用しない場合は、確定申告は不要です。

 

ただし、売却損を他の所得と相殺できる特例もあるため、損をしたからといって何もしないのではなく、一度専門家に相談することをおすすめします。

【譲渡所得税3000万円特別控除の詳細】

所有期間5年の壁と税率の違い

譲渡所得税の税率は、売却した不動産の所有期間によって大きく変わります。

所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年超の場合は「長期譲渡所得」として区分されます。(所得税法)

 

それぞれの税率は以下の通りです。

  • 短期譲渡所得(5年以下):所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9% = 約39.63%
  • 長期譲渡所得(5年超):所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5% = 約20.315%

 

短期と長期では、税率が約2倍も違います。

ここで注意したいのが、所有期間の判断基準日は「売却した年の1月1日時点」という点です。

 

たとえば、2020年2月1日に取得した不動産を2025年3月に売却する場合、実際には5年以上経過していますが、2025年1月1日時点ではまだ5年に達していないため、短期譲渡所得となります。

一方、2026年1月まで待って売却すれば、2026年1月1日時点で5年超となり、長期譲渡所得として低い税率が適用されます。

 

売却時期を数ヶ月調整するだけで税額が大きく変わることがあるため、事前に所有期間を確認しておくことが重要です。

申告期限を守らないとペナルティ

確定申告の期限は、原則として売却した翌年の3月15日です。

この期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課されます。(国税通則法)

無申告加算税は、本来納めるべき税額に対して5%〜20%が加算されます。

また、納付が遅れた期間に応じて延滞税も発生します。

 

特に、特例や控除を適用して納税額がゼロになる場合でも、確定申告をしなければ特例が適用されず、本来払わなくてよい税金を払うことになってしまいます。

 

書類の準備には時間がかかることもあるため、売却が決まったら早めに必要書類を集め、余裕をもって申告の準備を始めることが大切です。

不安な場合は、税理士に相談することをおすすめします。

 

 

 

よくある質問

不動産売却後の税金について、よくいただく質問にお答えします。

Q. 相続した不動産を売却する場合、所有期間はいつから数えますか?

A. 相続した不動産の場合、被相続人(亡くなった方)が取得した日から所有期間を計算します。

 

つまり、自分が相続した日ではなく、元の所有者が取得した日を引き継ぐことになります。

たとえば、父親が2010年に購入した不動産を2023年に相続し、2025年に売却する場合、所有期間は2025年1月1日時点で15年となり、長期譲渡所得として扱われます。

 

贈与の場合も同様に、贈与者が取得した日を引き継ぎます。

相続や贈与で取得した不動産は、元の取得日を確認しておくことで、売却時の税率を正しく判断できます。

【相続不動産売却時の税金の特例】

Q. 売却益が出なければ確定申告は不要ですか?

A. 売却損が出た場合、原則として確定申告は不要です。

 

ただし、売却損を他の所得と相殺できる損益通算の特例を利用する場合は、確定申告が必要になります。

また、売却益が出た場合でも、3,000万円特別控除などの特例を適用して納税額がゼロになるケースがあります。

この場合、納税額がゼロでも確定申告は必須です。

Q. 確定申告の期限はいつまでですか?

A. 不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までが確定申告の期間です。

 

たとえば、2025年中に不動産を売却した場合、2026年2月16日から3月15日までに確定申告を行います。

この期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されるため、注意が必要です。

Q. 納税資金はどのくらい準備すればよいですか?

A. 納税資金の目安は、譲渡所得の20%〜40%程度です。

 

所有期間が5年超の長期譲渡所得の場合、税率は約20%です。

一方、所有期間が5年以下の短期譲渡所得の場合、税率は約39%になります。

 

 

 

まとめ:売却後の納税スケジュールを把握して安心の資金計画を

不動産売却にかかる税金は、契約時、引渡時、そして翌年と、複数のタイミングに分かれて発生します。

特に注意が必要なのは、譲渡所得税と住民税の支払いが翌年になるという点です。

売却代金を受け取った時点で、つい使ってしまいがちですが、翌年の納税に備えて資金を確保しておきましょう。

 

また、納税額がゼロになる場合でも、特例を利用するためには確定申告が必要です。

所有期間によって税率が大きく変わることや、申告期限を守らないとペナルティが課されることも覚えておきましょう。

 

不動産売却は大きな金額が動く取引です。

納税スケジュールをしっかり把握し、安心して売却を進めていきましょう。

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