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不動産売却時の心理的瑕疵とは?正しい判断基準

2025.12.27
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不動産の売却を決めたとき、多くの売主様が気になることの一つが「過去に何かあった物件だったら、どこまで買主に伝えるべきか」という疑問です。

特に、建物内で事件や事故、亡くなられた方がいた場合、「これは絶対に伝えなければならないのか」「どの程度まで詳しく説明する必要があるのか」といった不安を抱えることは珍しくありません。

 

実は、この問題に関して、国土交通省が明確なガイドラインを策定しています。

正しい知識を持たずに対応すると、売却後に買主様からのクレームや損害賠償請求に発展するリスクがあります。

 

本記事では、不動産売却における「心理的瑕疵の告知義務」について、国土交通省のガイドラインに基づいて、売主様が知るべき判断基準と対策を詳しく解説します。

心理的瑕疵が発生する理由|なぜ売主は告知義務を負うのか

まずは、「心理的瑕疵とは何か」と、「なぜ売主にそれを伝える義務があるのか」という基本的な考え方を押さえておきましょう。

心理的瑕疵の定義

心理的瑕疵とは、物理的な破損や老朽化ではなく、物件の過去に起きた出来事が原因で、買主が精神的な不安を感じ、購入意欲に影響を与える事実のことを指します。

 

例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 建物内での殺人や傷害事件
  • 建物内での自殺
  • 建物内での事故死
  • 特殊清掃が必要となるほどの孤独死

 

これらは、物件の構造や機能に直接的な問題がなくても、心理的な理由から購入を躊躇する買主が多いという事実から生まれた概念です。

なぜ告知義務が存在するのか

買主様は、物件の過去を知らずに購入することで、想定していなかった精神的なストレスを受けることになります。

不動産取引において、買主が正確な情報に基づいて判断できることは、取引全体の公平性と信頼性を支える重要な原則です。

 

売主が知っている重要な事実を隠して売却すると、買主はその事実を知った後、以下のようなトラブルに発展する可能性があります。

  • 契約不適合責任の追及:修繕費用の負担や損害賠償請求
  • 代金の減額請求
  • 売買契約の解除
  • 長期的な関係悪化とそれに伴う法的紛争

【契約不適合責任とは】

 

つまり、売主が正直に告知することは、買主を守るだけでなく、売主自身のリスク回避にもつながる重要な手続きなのです。

 

 

 

国土交通省ガイドライン(2021年)で定める告知ルール|判断基準の詳細

2021年、国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。

このガイドラインは、どのような場合に告知が必要なのか、そうでないのかを明確に示す判断基準として機能しています。

告知が原則として必要なケース

不動産が取引の対象となっている建物内で、以下の事案が発生し、売主(または宅地建物取引業者)がそれを認識している場合、原則として告知が必要です。

  • 殺人事件
  • 自殺
  • 原因が明確でない死亡事案
  • 通常では発生しない事故による死亡

 

これらのケースは、買主の判断に重大な影響を及ぼす可能性が高いという判断に基づいています。

事件性や突然性が高い死亡事案は、時間が経過していても買主にとって重要な判断材料となるため、積極的な告知が求められます。

【建物売却トラブル事例】

告知が原則として不要なケース

一方で、日常生活の中で自然に発生する以下のような事案については、原則として告知する必要がないとされています。

  • 自然死や病気による死亡
  • 老衰による死亡
  • 日常的な生活の中での予期しない事故(例:階段での転倒、食べ物の誤嚥)

 

これらは、どの物件でも起こり得る一般的な事柄であり、物件そのものの価値を低下させるものではないという考え方が根拠となっています。

 

ただし、重要な例外があります。

たとえ上記に該当する自然死や事故死であっても、以下の状況では告知が必要になることがあります。

  • 特殊清掃や大規模なリフォームが必要になった場合
  • 事件性や社会的な周知性が特に高い場合
  • 周辺住民からの認知度が極めて高い事案

 

国土交通省ガイドラインによって、告知すべき事案と不要な事案が明確に分類されています。

売買取引における告知期間の考え方

心理的瑕疵の告知ルールで注意すべき重要なポイントが、売買取引と賃貸借取引では期間の考え方が異なるという点です。

 

・事件性・事故性のある死亡事案の場合

殺人、自殺、原因不明の死といった事件性の高い事案については、売買取引では期間の定めがありません。

つまり、事案が発生してから10年経過していても、20年経過していても、買主の判断に重要な影響を与える可能性があると判断される場合は、告知が必要という判断になります。

 

・特殊清掃が必要な自然死・事故死の場合

賃貸借取引では「概ね3年間」が告知の目安とされています。

しかし、売買取引では期間の経過にかかわらず、その死亡事案の具体的な状況を総合的に考慮して、その都度判断する必要があります。

たとえ数年前の出来事であっても、物件の価値や買主の判断に影響を与えるかどうかという個別的な検討が求められるわけです。

 

売買取引では告知期間に明確な区切りがなく、個々の事案を総合的に判断する慎重な対応が必要とされています。

 

 

 

売主が後悔しないための3つの重要ポイント|プライバシーと誠実な告知のバランス

ガイドラインを理解した上で、実際の売却活動を進める際に、売主様が気をつけるべき3つの重要なポイントをご説明します。

ポイント1:知っている情報はすべて書面に記載する

売主様が知っている事実については、可能な限りすべて物件状況確認書(告知書)に記載することが原則です。

「これくらいなら言わなくてもいいか」といった自己判断は、後々のトラブルの原因になりやすいです。

口頭での説明だけでは、後日『伝えた』『伝えていない』という水掛け論に発展するリスクがあるからです。

 

物件状況確認書という書面に残すことで、売主と買主の間に明確な記録が残り、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

特に心理的瑕疵に関わる事項は、「書面に残す」という対応が売主様自身を守る最も確実な方法です。

【不動産売却の告知義務|告知書に何を書くべきか】

ポイント2:プライバシー保護と事実の告知のバランスを取る

告知が必要だからといって、亡くなった方の氏名、年齢、住所、家族構成、具体的な死亡の状況、発見時の様子といったプライバシー情報をすべて開示する必要はありません。

買主に必要な情報は、「いつ、どこで、どのような種類の事案があったか」という事実のみです。

 

例えば、以下のように表現することで、買主に正確な情報を伝えながらも、故人のプライバシーを守ることができます。

  • 「〇年〇月に、この建物内で自然死がありました」
  • 「〇年に、この物件で突発的な事故がありました」

 

こうした表現方法により、買主は購入判断に必要な事実を得ながら、故人やご遺族のプライバシーも適切に保護できるバランスが実現します。

ポイント3:判断に迷ったら必ず専門家に相談する

心理的瑕疵に関する告知の必要性は、その影響の度合いや物件の個別的な事情によって大きく異なるため、判断が難しい局面が多々あります。

例えば、「かなり昔の事案だが、地域での知名度が高い」といったケースや、「自然死だが、特殊清掃が必要だった」といった複合的な状況では、一概には判断できないでしょう。

 

少しでも判断に迷う場合は、必ず不動産会社の担当者や、不動産に関する専門家に相談することをお勧めします。

専門家の意見を聞くことで、ガイドラインの解釈に基づいた適切な告知内容を決定でき、売却後のリスクを最小限に抑えることができます。

 

 

 

よくある質問|心理的瑕疵の告知に関する疑問をすべて解決

売主様からよくいただく質問について、お答えします。

Q.売却前に知らなかった事案は告知しなくていい?

A. 基本的に、売主様が知らなかった事案については、告知義務は発生しません。

 

しかし、「実は知っていた」という状況になると責任を問われる可能性が高くなります

例えば、ご親族から聞かされていた、近所の方から以前に聞いたことがある、といった場合は、それが「売主が認識している情報」となり、告知が必要になる可能性があります。

Q.事案が起きた部屋と別の部屋なら告知しなくていい?

A. 売買の対象が一戸建てか、マンションの一室かといった物件の形態によって判断が変わります。

 

一戸建ての場合、事案が発生した場所が明確です。

しかし、マンションの一室の場合、同じ建物内の別の部屋での事案であっても、建物全体の価値に影響を与える可能性があると判断される場合は、告知が必要になることがあります。

 

特に事件性の高い事案の場合、「同じ建物内での出来事」という事実自体が、買主の購入判断に影響を与えるからです。

【隣人トラブルが不動産売却に及ぼす影響】

Q.買主から事案について質問されたが、答えたくない場合はどうする?

A. 買主からの質問に対して、答えたくないという気持ちは理解できますが、知っている情報を意図的に隠すことは非常に危険です。

 

買主が直接質問してきたということは、何らかの情報源からその可能性を知っている可能性が高いです。

正直に答え、買主に判断の余地を与えることが、長期的には売主様のリスク軽減にもつながります。

Q.告知すると価格が下がってしまう心配があります

A. 現実的には、心理的瑕疵がある物件は、相応に価格が下がることが多いです。

 

しかし、これは避けられない事実であり、むしろ正直に告知した上で適切な価格設定をすることが、売却をスムーズに進める道筋となります。

隠して売却すると、後から事実が発覚した時の買主の怒りは、価格低下以上の大きなトラブルへと膨らむ可能性があるからです。

 

長期的には、誠実な対応が最善の結果につながるという認識を持つことが大切です。

 

 

 

まとめ:正しい告知で売却後のトラブルを未然に防ぐ

不動産の心理的瑕疵に関する告知義務は、一見すると複雑に感じられるかもしれません。

しかし、国土交通省ガイドラインの基本的な考え方を理解すれば、売主様がどのように対応すべきかは自ずと見えてきます。

 

重要なポイントをまとめると、以下の通りです:

  • 殺人、自殺、原因不明の死などの事件性が高い事案は、時間が経過していても告知が必要
  • 自然死や一般的な事故死は、原則として告知不要だが、特殊清掃が必要な場合は例外
  • 知っている情報は、必ず書面(物件状況確認書)に記載する
  • プライバシーを守りながらも、買主に必要な事実は誠実に伝える
  • 判断に迷ったら、必ず専門家に相談する

 

不動産売却は人生の中でも重要な決断であり、その過程で生じるトラブルは避けたいものです。

正しい知識を持ち、誠実に対応することで、売主様も買主様も安心できる取引を実現することができます。

 

心理的瑕疵の告知について不安なことがあれば、遠慮なく不動産の専門家に相談し、安心した上で売却活動を進めることをお勧めします。

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